第7話「子どものせい」
第6話では、あまり深く考えずに「楽譜にドレミを書きましょう」という指示を出してしまったときの授業の様子を描きました。第7話は、「お祭りの音楽」の学習で【口唱歌】を子どもたちが唱えている場面から始まります。子どものせいにしてしまったとはどういうことでしょうか?
主な登場人物(実在する人物と関係ありません)
新任教諭(音楽専科)長谷川先生
担任の先生(音楽部 長谷川先生の先輩)鈴木先生
指導教官(ベテラン教務主任)村上先生
斎藤先生と同期の音楽専科(他校に配属)岩倉先生
研究会の主宰者(ベテラン音楽専科)日村先生
第7話「子どものせい」
3年生。お祭りの音楽に親しむ学習。子どもたちが太鼓のリズムに親しむことができるように口唱歌を練習することにした。(口唱歌とは、ドンカカ・ドコドン・ドドカカドンのように楽器のリズムを言葉で表したもの)
「ねぶた祭のたいこの口唱歌を練習してみよう」
長谷川は「せーの!」と声をかけて、子どもたちと「ダダンダ ダンダン・・」と声を出していた。
「2回繰り返して言ってみよう」
このように子どもたちに伝えて、口唱歌を声に出していく。2回繰り返したら終わるはずなのに、その後も「ダダンダ・・」と子どもは声をだしていてザワザワが止まらない。長谷川は「もう声を出すことをやめなさい」と少しイライラしながら子供に注意した。優しく声をかけたが「ダダンダ ダンダン・・」とまだ言っている子供がいる。少し厳しめに注意をして静かにさせた。「2回繰り返して言ってみよう」と言ったのに話を聴いていないなと残念な気持ちになった。
作者コメント
長谷川先生がイライラしてしまったのはなぜでしょうか。「もう声を出すことをやめなさい」と言ったのに話を聴いていなかったこと。そもそも「2回繰り返して言ってみよう」と伝えたのに、何度も繰り返し言っている子供がいたこと。これらのことが原因でイライラしてしまったのだと思います。
上記のような気持ちになってしまうのは、「子どものせい」にしてしまっているからなのではないでしょうか。(私も同じような経験がもちろんありますが、、)このような「子どものせい」にすることが続いていくと、先生と子どもの信頼関係が崩れていってしまうのではないかと思います。このようなことにならないようにするために、どうしていけばよいのでしょうか。
終わり方を明確に示そう
「2回繰り返して言ってみよう」
この指示だけでは不十分だったのではないかと思います。(そもそもなぜ2回繰り返すという活動したのかも検討するべきだと思いますが・・子どもとしてはもっと練習したいですよね)
「2回繰り返して言ってみよう」という指示にプラスして、
・先生自身が手本を見せること
・最後に声を揃えてピタッと止まれたら合格!など終わりを意識させること
最低限でも上記のような補足が必要だったと思います。音楽の授業は活発に音を出しているからザワザワしやすい側面はあると思いますが、音の止め方など【終わり方】を明確に示すことで、かなり改善されるだろうなと感じました。
おわりに
先生が話をしてもやめないくらい【ダダンダ ダンダン・・】と声を出しているのは、音楽に没頭していると考えると悪いことではないのかもしれません。もちろんこのような状況が続いてしまうと授業崩壊につながる可能性もあるとは思うのですが、とにかく音楽に没頭するという活動も大切にしたいなと感じます。「子どもがザワザワしてしまう」を、ただ子どものせいにすることのないように授業を改善を進めていきたいです。
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