鑑賞「祝典序曲」の聴き方を考える②
第5学年の鑑賞曲である「祝典序曲」。第1回目の記事では、音源を聴きながら「心にぐっときたところ再生時刻をメモしていく」という聴き方を行いました。(詳細については上記の記事をご覧ください。)
第2回目では、【聴き比べ方式】で鑑賞をしてみようと思います。聴き比べることで、それぞれの違いに気づくことができ、魅力を発見することにも繋がるのではないかと考えています。
1 祝典序曲のどの部分を聴き比べるのか
祝典序曲の構造をざっくりと表にしてみました。大きなくくり方で、①~⑥の部分にわかれています。また、曲の速度も「緩・急・緩・急」とざっくりわけることができます。
対比をする部分を決めるにあたって、比べるときに大切なポイントをまず考えてみましょう。比べるときに大切なことはたくさんあるかもしれませんが、ここでは1つだけ記述します。
似て非なるもの同士を比べる
全く違うもの同士を比べても、同じものを比べても思考は活発に働きませんよね。「りんごと梨」を比べた場合と、「りんごとゴリラ」を比べた場合を想像するとわかりやすいのではないでしょうか。前者は、同じ果物で木になる形が似ているものです。だけど、味が違う。これはなぜなだろう?りんごと梨の違いを考えると様々な発見がありそうです。後者はどうでしょうか?あまりに違いすぎて、比べてもわかりきったことしか発見できないのではないかと思います。
それでは、似て非なるもの同士を比べるというポイントを意識して、祝典序曲の中から聴き比べる箇所を決めていきます。
比較場所1「①のファンファーレと⑤のファンファーレ」
記事の本題とは少し離れていますが、比較聴取するときにGoogleスライドを活用すると便利です。詳細については、上記の投稿をご覧ください。
なぜ①のファンファーレと⑤のファンファーレが比較しやすいかというと、金管楽器によるファンファーレという共通点があるからです。ただ、⑤のファンファーレは①に比べて明らかに豪華な響きになっていますよね。この2つを比較することで、様々な楽器が重なり合った響きの良さに気づくことができるのではないかと思います。
比較場所2「②提示部の木管楽器による第1主題と弦楽器による第1主題」
同じ旋律でも、木管楽器による演奏と弦楽器による演奏では聴いた感じが違いますよね。私は、木管楽器のほうが軽やかで可愛い感じがします。バイオリンは、木管楽器の演奏よりもなめらかで優雅な感じがしますね。このように、同じ旋律を違う楽器で演奏している箇所を比べると、楽器の音色に着目しやすくなるのではないかと思います。
比較場所3「②の第2主題と④の第2主題」
同じ旋律であるのに、聴いた印象が大きく異なる部分だと思います。④の第2主題は、弦楽器・木管楽器・金管楽器・打楽器の豊かな音色を堪能できますよね。②は、④と比べるとシンプルで、だからこそ旋律の美しさを味わえるのではないかと思います。
2 終わりに
本記事では【聴き比べ方式】で祝典序曲の鑑賞を行ってみました。第1回目の【心にぐっときたところでストップ】方式よりも、鑑賞する部分が明確なので授業をやりやすいのではないかと思います。
様々な楽器が一体となって演奏されるオーケストラの響きに着目さあせるのであれば、【聴き比べ方式】のほうが適しているのではないかなと感じました。
しかし【心にぐっときたところでストップ】方式ならではの良さもあるのではないかと思います。まだまだ、「祝典序曲」の聴き方はあると思うので第3回目の記事も書いてみようと思います。本記事を読んでくださった先生方の聴き方もをコメント等で教えて頂けると嬉しいです。
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