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24年振りに実家に帰った。


今回で4度目の再会となった。


初めて父と数日間を過ごした。

こんなに話をしたのも初めてだった。
(ほぼ聞いていただけだったが)


私は父が大嫌いだ。

昔からずっと。

話に聞いていた父も
記憶の片隅に朧げに残る父も
全てが嫌いだった。


地元から私が帰る日も、父は私を思い出せずにいた。

しかし父は、私が帰るその時にやっと私を娘だと思い出したようだった。

『あぁ…もしかして〇〇(兄の名前)の妹か…?』

「あ…うん…!そうだよ!」

父は人前で泣き出した。

『う…うぅ……ごめんなぁ…本当に…
これまですまなかったなぁ…
特にお前には何もしてやれなくて……
うぅ…こんなに面倒を見てもらって…
本当に…本当に…ごめんなぁ…〇〇(妹の名前)
ありがとうなぁ…〇〇(妹の名前)』

「大丈夫だよ、お父さん。またすぐに会いに来るからね。ちゃんとご飯食べてね。」


2日前まで、ずっと亡くなった妹の事を父は気にしていた。
なぜ自ら亡くなってしまったのだろうか…と。
繰り返し繰り返し私に話していた。

でも最後、別れ際に父は
私を妹だと思ったようだった。

妹が大人になってやっと自分を許してくれたと思ったのであろう。

妹は父とは会わずして亡くなった。

大人になっても父の事は許せないと
ずっと妹は言っていた。

私も同じ気持ちであった。

最後のことばを聞いて
父はずっと妹の事をどこかで後悔していたのではないかと思った。

最後に父に抱きしめられた。

父にとっては娘なのだなと思った。

私にとっては良く知らない人だけど
なんだか胸が苦しかった。


もう父は長くはない。

3年後はこの世にいない。

仕事柄、そう感じた。



私は今日も父という人を心配している。




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