【朗報】ドラクエ、氷河期世代を救う
堀井雄二氏の思い出
1980年代生まれ氷河期世代(以下私)は就職以外にも特にメディアから迫害されてきた。
昔はネットが無いからメディアから情報を得るしかなかった。
そんな中で私が小学生の時に幼女連続殺傷事件が起きて、メディアは犯人の家にあった膨大な実写映画の記録媒体の中に アニメ作品が一作あったという理由で(諸説あり)、サブカルが好きな若者は犯罪者予備軍だと連日報道した。
それは一部で今も続いてるけど、クラスメイトはファミコン持ってる事がバレただけで村八分。
それでも私は親にねだってファミコンを買ってもらい、近所の中古ショップで買ったドラクエ1,3,4をプレイし、スーファミのドラクエ5にもはまっていった。
そんな状況下で高校生の時に神戸児童連続殺傷事件が起こって、犯人が男子中学生だったことを理由に今時の男子学生は あわよくば殺人も厭わない犯罪者予備軍であるかのようにメディアは連日連夜報道。
そして女子高生のトレンドは売春で、 普通の女の子みんなお小遣いほしさに売春することに抵抗がないと言い出した。
これも朝から晩まで今時のティーンは存在そのものが犯罪であるかのような風潮を作り出した。
何度も言うけど情報を発信できるのがテレビ、新聞、週刊誌、書籍しか無かったので 、少なくない大人がそれを鵜呑みにしていた。
なにしろ有名大学の教授だのテレビのコメンテーターだの上級国民が 揃って日本の子供は有害だと言っていたからだ。
テレビドラマや少年漫画でも女子高生が売春するストーリーが当たり前に語られるようになった。
私たちは制服で外を歩いているだけで大人たちから後ろ指を指された。
私は逃げるように家に閉じこもり、連日夜中までスーパーファミコンでトルネコの大冒険をプレイしていた。最後の巻物を取りエンディングを見たときは、この世のものとは思えない達成感をえた。
ゲームボーイのテリーのワンダーランドもやりこんだ。デスタムーアが欲しかったが、相棒のわたぼうを失うことに耐えられず、配合はしなかった。
ゲームを断ち、就職を控えて勉強の日々を送っていたある日、たまたま雑誌でドラクエ創始者のひとり、堀井雄二氏(以下ゆうぼう)のインタビューを見た。
インタビューの最後「今の子供は昔と違うと思うか?」という質問に、「今の子供も、昔の子供も、同じだと思いますよ」とゆうぼうが答えているのを見て、この人は何があっても味方なんだと私は確信した。
ドラクエが日本で国民的ゲームと言われて上級国民になっても、変わらないゆうぼうの存在が嬉しかった。
私の様な社会のつまはじき者でも、選ばれし勇者として、尊ばれ、世界を救う偉業を成し遂げられるのである。それをドラクエは教えてくれた。
私はドラクエを通じてゆうぼうのおおらかな人間性に救われてるんだと思う。
きっと。
すぎやまこういち氏について
すぎやまこういち氏(以下すぎやん)について、
「ネトウヨ」という罵倒を受けているところを幾度か目にした。
おそらく、危険思想の持ち主である、という意味であろう。
たぶん誤解である。
発端となったと思われるのは、すぎやんが日本軍による慰安婦(売春婦)強制連行はデマであるとする広告を他の有志と共に米国のウォールストリートジャーナル他大手新聞社に出したこと。
そのころより約20年以上前から強制連行があったとする誤った情報がメディアに載り、はては教科書にも載っていた。
真面目だった私は、学生時代、関連書籍や新聞、週刊誌を読み漁った。
そのいずれも慰安婦(売春婦)強制連行が史実であるとする内容であった。
そもそも、小中学校の学級文庫や図書室にある本はみな、戦時中の日本人は悪魔の化身のごとく、子供や女性を中心に殺傷を繰り返していたとする内容のものしかなかった。
私は怒りのあまり当事者世代である祖父母に冷たい態度をとった。
突然の孫娘の変貌に祖父母は明らかに戸惑っていた。それでも、彼らは一切、昔のことで言い訳をしなかった。関係がよそよそしいままに彼らは亡くなった。
すぎやんが広告記事を出したのはそのあとである。私は報道でそれを知り、当惑した。
しかし、2014年に朝日新聞社がデマの内容を謝罪したことで、風向きは変わり始める。
https://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014122337.html
そして、2015年、安倍政権時の日韓合意により、日韓政府・メディアが日本軍による慰安婦(売春婦)の強制連行・暴行・殺害がデマであることを認めざるをえなくなった。
私は愕然とした。
祖父母を冷たくあしらった高校生の私を、責めることはできるだろうか。世の中が間違っていたのに。でも、祖父母は二度と帰ってこない。謝罪もできない。
・・・やはり私は間違っていた。そのことを今も痛切に後悔している。
そして、すぎやんは正しかった。
子供たちに音楽のすばらしさを教えるためにドラクエのオーケストラコンサートを少なくともこの二十年間、毎年開催している人である。
すぎやんはきっと、日本の若者が海外で「性犯罪者の子孫」と後ろ指を指されることが我慢ならなかったのだと思う。
すぎやんのブルーリボンについて
すぎやんは公の場では拉致問題解決を表すブルーリボンをつけていた。
これも氏が「ネトウヨ」と言われるゆえんだった。
私は実際に拉致問題について調べてみた。すると興味深いことが分かった。
政府認定の拉致被害者|外務省 (mofa.go.jp)
政府認定の拉致被害者12件17名のうち、8割の14名が当時未成年~20代の若者で、うち半数の8名が女性なのだ。
そして、拉致の疑いがあるおよそ300名のうち、75.2パーセントの207名においても未成年~20代の青少年で、そのうち33.8パーセントの70名が女性である。
また、警察庁が拉致被害者と断定した最年少は3歳の男児と6歳の女児の姉弟である。
失踪者リスト | 特定失踪者問題調査会 (chosa-kai.jp)
つまり、拉致問題とはイコール子供と女性に対する人権侵害だったのである。
何度も繰り返すが、すぎやんは子供たちが主なターゲットであったドラクエのBGMの作曲者であり、若者に音楽に親しんでほしいという思いから、20年以上ドラクエオーケストラコンサートを行ってこられた人である。
ドラクエは今でこそ老若男女に親しまれて久しいが、昔の主な顧客層は若者である。彼らに対する人権侵害にすぎやんがNOを示すのは当然の流れであろう。
そのほかの誤解については、とりあえず、すぎやんのホームページを参考にしていただきたい。
すぎやまこういちの世界 - 僕の意見 (sugimania.com)
東京オリンピック2020でドラクエの序曲が世界に響き渡ったときの感動を今でも忘れられずにいる。すぎやんもあの光景を見たのだろうか。
鳥山明氏について
堀井さんの項でもふれたが、氷河期世代が子供の頃、漫画は禁忌の書物であった。漫画を読んでいると馬鹿になるという根拠のない持論を思わせぶりにのたまう著名人もいた。
ゲームに関しても同じである。
2002年には「ゲーム脳の恐怖」と題した本をメディアがこぞって取り上げ、ゲームをする若者をこれでもかとひっぱたいた。
ゲーム脳の恐怖 (生活人新書) | 森 昭雄 |本 | 通販 | Amazon
そんな中で私はアラレちゃんに元気をもらい、ドラゴンボールに勇気づけられ、ドラゴンクエストに酔いしれた。
鳥山明先生(以下アキーラ)の漫画やキャラクターは眉を顰める日本の有力者たちをよそに世界を駆け巡った。
90年代の後半ごろから、テレビで度々、ドラゴンボールが海外ですさまじい支持を得ているという特集が放送されるようになった。そのニュースが流れるたびに背中を優しく押されている様な、心躍る気分になれた。
東京オリンピック2020では海外のトップアスリートたちがかめはめ波のポーズをとる姿が報道された。
もはやアキーラは世界の共通語であった。
アキーラの作品に育てられたものの一人として、感慨深い出来事であった。
ドラクエとの再会
2017年、私はさまよっていた。
なんとか就職できたものの、五年後に3人いた妹のうち一人が病死し、私は東日本大震災のあおりを受けて倒産した実家の借金を肩代わりし、パワハラに遭い、休職を繰り返していた。
そんな中、たまたま町のゲーム店の店先に3DS版ドラクエ11が並んでいるのを見た。私はアキーラの本気度120パーセントの女性キャラクターのかわいらしさに圧倒された。
Amazon.co.jp: 【3DS】ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて : ゲーム
ドラクエ6以降、シリーズをプレイしていない私は少し迷ったが、2Dドットでプレイできることを知り、妹の勧めもあって購入することにした。
時間を忘れてプレイした。特にベロニカとセーニャとマルティナとエマのキャラデザがとにかく可愛すぎた。
また、妹を亡くした経験をもつものとして、姉妹を救うことが出来るシナリオは素直にありがたかった。亡くなった妹にできなかったことを、ゲームの中でできた気がした。
数年後に発売されたリメイク ドラクエ11S(以下S)も楽しんだ。
Amazon.co.jp: 〔新価格版〕ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S - Switch : ゲーム
実はSで追加されたグレイグとホメロスの友情イベントが目当てで買った為、そのイベントだけを何度も何度もプレイしている。5年以上を経た今もその先に進んでいない。
Sをプレイするまで私は敵に寝返るという罪を犯したホメロスを許すことが出来なかった。しかし許しを請うことなく、ただグレイグとの友情だけを確認して友と一体化したホメロスと、ホメロスを許せないなら許さなくていいと助言をくれたカミュのおかげで、私はホメロスを許すことが出来、同時に、思うように生きることのできない自分のふがいなさも許すことが出来た気がした。
ドラクエをつくりしもの
ここでは紹介できなかったが、ドラクエにすぎやんを起用したゆきのふこと千田幸信氏、ゆうぼうにアキーラを紹介したドクターマシリトこと鳥嶋和彦氏や初期ドラクエやトルネコの大冒険シリーズでおなじみチュンさんこと中村光一さん、ドラクエ11の3DS版の横田賢人氏とドラクエ11Sの八木正人氏、氷河期世代をはじめとする成人女性ファンにも向けた作品作りをしてくださった内川毅さん、岡本北斗さん、ドラクエに携わりし皆さん本当にありがとう。ほんとうにありがとう。
貴方がたは常に子供という弱者に寄り添い続けた。弱い者として袋叩きに遭った氷河期世代も、貴方がたのおかげで救われました。ドラクエは常に私の魂と共にあるゲームです。