三遊亭円丈一周忌~師匠が亡くなった日
2022 12/5(月)
師匠、円丈の訃報が報道されてから12/5で丸一年になる。
亡くなったのは2021年11/30だった。
その日の15時頃、俺は、浅草フランス座演芸場・東洋館の舞台にいた。
出番を終えて師匠の家に電話をかけた。毎年、お歳暮を持って行く時期だったので、確認を取ろうと思ったからだ。だが、留守だった。
その数時間後、弟弟子の、わん丈から電話がかかって来た。
何か新しい仕事でも貰えるのかと意気揚々、俺はスマホを耳にあてた。
「もしもし、はらしょう兄さん、あの、本日の15時頃なんですが、あの」
「どうした?15時頃だったら、俺は東洋館の舞台にいたよ、いやぁ~結構ウケたね今日は~」
「師匠が・・・亡くなりました」
一瞬、混乱した。
亡くなった??
体調が悪いとは聞いていたが、こんなに早く亡くなるものなのか?
動揺しまくった。
だが、いつかはやってくるであろうそれを覚悟していた俺は無理矢理、気を落ち着けようとした。
葬儀は12/4だという。享年76歳。
師匠の誕生日が12/10だったから、せめてそれまでは生きていてほしかった。葬儀は12/4、いや、その日、俺の誕生日じゃないか。
誕生日に師匠の葬式なんて、そんなプレゼント欲しくない。
翌日、師匠宅に一門が集まった。
いつもは飼っている猫を遊ばせる部屋に、師匠が横になっていた。
「顔を見てやってください」
オカミさんがそう言いながら白い布をめくった。
し、師匠~!と本来ならここで泣く場面なのだが、目の前にいる師匠の姿が扮装しているようにしか見えず、まるで夏休みの肝試し大会のようだった。
今にも目をカッと見開いて、
「ぴゃあ~」
と起き上がりそうな気がした。
でも、もう二度とあの声を聞くことは出来ない。
し、師匠~!と本来なら、そろそろここで泣く場面なのだが、目の前にいる師匠が亡くなっても眼鏡をかけているので、今、俺のことが見えているのだろうかと、覗き込んだ。
あれっ、この眼鏡、ちょっとオシャレなフレームだ。
なんでオシャレなんだ!
「ぴゃあ~JINSで買ったんだよ~」
今にもそう言いそうだったが、だが、口元がきゅっと閉じてトレードマークだった出っ歯が引っ込んでいる為、本当に亡くなったんだと悲しくなった。
し、師匠~!と本来なら、もう、いよいよ、ここで泣く場面なのだが、口を閉じた師匠の顔がなんだか別人に見え、しかもそれが妙にイケメンだった。なんで亡くなったら急にイケメンになるんだ!
し、師匠~!なかなか師匠は、俺を泣かせてくれなかった。
※続きは後日
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