神戸でうまいものは何ですか
2022 9/5(月)
神戸に19歳まで住んでいた。
「神戸でうまいものは何ですか?」とたまに聞かれることがある。
「やっぱり神戸牛ですかねぇ?」と、まだこちらが何も答えてないのに早急に結論づけられてしまうことが多い。
だが、神戸に生まれ育った俺は、これまで神戸牛なるものを食べた記憶は殆どない。
この場合、神戸牛を食べた、という質問はステーキの類いであって、コロッケや煮物などに神戸牛が入っているものは、聞き手からするとおそらく神戸牛というカテゴリーには含まれていない。
神戸でうまいものは?
最近は一年に二回位、帰省するのだが、昔食べてうまかった店が殆どなくなっている。そんな中で唯一、今でも現役バリバリで残っているのが中華料理の「一貫楼」だ。
ここの豚まんをお土産で買って帰ると、神戸の人間はみんなテンションがあがる。
大阪の551の豚まんも勿論うまいが、物心ついたころから食べている
「一貫楼」は、神戸人にとって、豚まんの基準になっている。
神戸には南京町という全国三大中華街の一つがある。
そこには豚まんの老舗中の老舗「老祥記」があるにもかかわらず、なぜか中華街とは関係のない「一貫楼」でお土産に豚まんを買って帰ることがある。
「老祥記」の豚まんは確かにうまい、出来てるそばから食べたくなる、すぐにその場で立ち食いをするのは中華街ならではの醍醐味だ。
一方、「一貫楼」はその場で食べようとは思わない。
持って帰りたくなる。冷めてもうまいことをみんな昔から知っている。
「老祥記」もきっと冷めてもうまいのだろうとは思うが、中華街に来たら、その場でアツアツを食べたいゆえ、持って帰りたいが、もし持って帰ってこの場で食べるよりも味が落ちたらどうしようかと思ってしまう。
神戸人にはそんな勇気はない。もともと冷めてもうまいとDNAレベルで刷り込まれている「一貫楼」を選んでしまう。
思い出すと、無性に食べたくなって来た。今度、これを食べる為だけに神戸に帰省してやろうか。
いや、それだけでは勿体ない、「老祥記」の豚まんをお持ち帰りしてもうまいのかどうか、それを確かめるというのも含めて神戸に帰ろう。
いや、まだある、いよいよ神戸牛のステーキを食べに行こう。
ステーキだけ、誰かご馳走してね。