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むかし誰かが「●●だった」話をする人

今まで何回か、出会ったことがある。
自分ではない誰が「●●だった」話をする人。

強烈な思い出は、義母だ。
結婚の時、両家顔合わせのあと、新卒から3年ほどローカル局の女子アナだったという義姉の出演ビデオを実家に送ってきて、ウチの両親を困惑させた。我が家は、私も姉も新卒で入った職場で仕事を続けていた。姉と義姉は同学年だ。その時義姉は、専業主婦だった。その後、話の流れでその話題になることはあったが、義姉本人から取り立てて、その話を聞いたことはない。
冷静に考えれば、就職して会社辞めただけの話。
義母は、私が仕事を続けている事を、今も応援してくれている。
あれはいったい、なんのアピールだったのだろうか。

あと意外にあるのが、奥さんが昔「●●だった」話をする旦那さん。
大抵奥さんの現状は、専業主婦かパート勤め。

「うちの嫁さん、昔、フリーのテーブルコーディネーターだったんすよ」とか
「奥さん、結婚前デザイナーやってて」みたいな話。

「へー、すごいね」といいながら、フリーだったら自称じゃんとか、ただの家事手伝いに毛が生えたもんだろとか、それがどうしたとか、内心悪態をついている。
でも今は専業主婦。その経歴を生かして、仕事を再開したとかいうのであれば、素直にすごいね。と頷けるのだが、現状全く関係のない状態にいるのであれば、なんの意味があるのだろうか。
そんな素敵な仕事していた女性を妻にした俺って、すごいっしょ。という事だと思っていると、「仕事をしろ」と言ってもなかなか始めないとか、お金遣いが荒いとか、愚痴が隠されていたりする。これも単純に、仕事をしていた人が仕事を辞めた話だ。前職はあまり関係ない。
結局、なにが言いたいのだろうか。

せっかく素敵な仕事していた人に、仕事を辞めさせてしまう事に加担し、続ける応援ができなかった、懺悔だろうか。自分だけはその経歴を誰かに教えてあげないと申し訳ないと、思っているのだろうか。

元校長先生とか、元CAとか自分の過去の経歴を自慢するなら、まだ理解できる。本人がそれを言うのであれば、本当に頑張ったのだろうし。単純に自慢だからだ。でもそれにしたって、過去の経歴が今に繋がっていないなら、「だった人」話はつまらないものだ。

聞けるなら、むかし誰かが「●●だった」話をする人にどうしてその話をするのか、間髪入れずに聞いてみたい。が、できない。







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