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超短編小説 縁と涼 その後

あの時見えた光景が今、目の前に。そして新たな生命が。

言葉が少ない涼だけど、今は幸せ。

二人でいろんな仕事をしてきたけど、助けられてきた日々は忘れない。

そしてこの子に不思議な力が宿るのだろう。

私はこの子に何ができるのだろうか。母と同じことが出来るだろうか。

父は私が生まれる前に仕事で命を失った。涼にそんな未来は見えないので大丈夫だろう。

「縁、できたよ」ぶっきらぼうに涼が呼ぶ。

食卓にちょっと雑な料理が並ぶ。「ありがと」と声をかけると、面倒くさそうな顔で涼が頷く。

「いただきます」二人で小さく言って目が合う。涼の困った顔にちょっとだけ笑いそうになったら、涼の口元が笑った。

この幸せは二人にだけしかわからないだろう。それでいい。

縁シリーズはここで


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