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誰かのための嘘をあばけ「未解決事件は終わらせないといけないから」

HEAVY RAINに続いて、子どもが消える系のゲームになってしまった…。
そして読んでる本は「汚れなき子」という、これまた子どもが消える系のお話。
なぜだ…。

まあそれはさておき、Switchでの配信も始まった「未解決事件は終わらせないといけないから」をプレイしました。タイトルが長い。
韓国産のゲームです。

テキストを読んで、パズルのように組み立てて行くアドベンチャーゲームです。
だんだんと事件の本当の姿が見えてくる過程が面白く、だけど悲しいお話でした。

クリアまで約3時間。
エンディングは2つあるみたいですが、1つのみ見ました。

みんなが少しずつついた嘘を解明する

2012年2月5日、公園で遊んでいた少女・犀華が行方不明になったという通報があった。
警察は聞き込みと捜索を繰り返すが、事件は解決せずに未解決事件の書類ファイルに眠る。

清崎蒼警部の退職から12年後、ある日訪ねてきた若い警官。
彼女は清崎が解決できなかった「犀華ちゃん行方不明事件」を終わらせるよう協力を要請してきた。
清崎はバラバラになった記憶のかけらを思い出して再構成するが、明らかとなったのは犀華の周りの全員が嘘つきだったということだけ。

プレイヤーは清崎警部となり、バラバラでちぐはぐな記憶の断片を思い出していくことで、事件の真相、本当の姿に近づいていきます。

清崎警部と、誰か不確定な人物との会話が途中途中で入る

事件には様々な人が関わっていますが、その誰もが少しずつ嘘をついていて、事件の真相をわかりづらくしています。
嘘をあばき、本当の話を引き出すことで、事件の全容が見えてきます。

散らばった会話をパズルのように組み立てていく

事件の捜査にあたった刑事さん視点で主に話が展開されます。
ただ、刑事さんの記憶は誰が何を言っていたのか、いつ言っていたのかがちぐはぐで、そのバラバラな会話を繋げて新たな会話を思い出したり、時系列を正して真実に近づける、という作業をしていきます。

主にやることは、キーワードと会話を繋ぎ、どんな話をしていたかを思い出す。
思い出した会話を時系列順に並べて整理する。
中にはその話をしていた人が間違っている場合もあるので、正しく直していきます。

こんな感じでパズルのように組み立てて、真実に近づいていきます。

中には話を整理していかないと思い出せない、鍵のついた会話もあります。

鍵付きの会話もある

鍵付きは3つのパターンがあり、
🟡黄色→時系列を正しく並べた時に、鍵のかけらのようなものが手に入る。鍵を用いて解放する。
🔴赤→会話の中から矛盾点や指摘できる箇所を探し、正解すると解放。(総当たりでもいける)
🟣紫→4桁の数字を入れる。誕生日など、進めていくと判明する数字が入る。

全ての会話を思い出し、話者と時系列が正しく整理できた時、この事件の真相が見えてきます。

親切設計で難なくクリア

推理ゲームもパズルゲームも普段あまりやらない&頭使うの苦手な私でもクリアできる、とても親切な設計でした。

プレイ中3回くらい詰まったのですが、そんな時は
・つながるワードを総当たりで洗っていく
・時系列を並べ替える
・話者が合ってるかを添削する
・話をもう一度読み返してみる
この辺をやっていけばいいのかなと。

それから、これから繋がる吹き出しをクリックすると「この辺にヒントありますよ〜」と教えてくれたり。

赤丸で囲った部分。青い会話をクリックすると、右のタイムラインの該当箇所が白く光る。

また、会話の時系列が正確に組まれていない箇所は、右下のタイムラインに切れ目が入っているのでわかりやすいです。ちょっと見づらいけど。

右端のタイムライン。よく見ると切れ目が入っている。

タイムラインを正しく並べられると、会話の枠の左上に日時が黄色い文字で表示されるようになりす。

こんな感じで補助的なお助け機能がたくさんあるので、パズルや推理が苦手でもなんとか自力でクリアできるような親切設計でした。

未解決事件にしてほしかった

※ストーリーのネタバレを含みます


ゲームを進めていくと、中盤あたりで「犀華ちゃんは2人いる」ということに気づきます。
これに気づいた時は、そういうことか〜!という驚きもあり、ゾッともしましたね…。

途中で入る2人の人物の会話然り、思い出していく会話の話者然り、いろいろなところにミスリードが散りばめられていて、事件の真相を見えづらくしていたのはうまいなぁと思いました。

やたら増えていく犀華ちゃんのママの会話に違和感を感じていましたが、本当は恵さんが話していたことだったり、誘拐された犀華ちゃんのお父さんの話だったり。

誰が何を言っていたかを正しく知ると、真実が見えてくるという仕様はとてもおもしろかったです。
全容を知りたい!という気持ちにさせてくれるし、中弛みせず最後まで遊べました。

犀華ちゃんを亡くした理佐子さんが、修学通知書を見た時の気持ちを想像すると、なんとも悲しく、酷い気持ちになりました。
死亡届出してないと普通に届いちゃうんですかね、アレ…。

子どもを亡くすというのは、受け入れ難い現実だと想像できます。
現実を受け入れられず、そんな中で犀華という珍しい同じ名前の子を見つけた時の彼女の気持ちを思うと、なんとも心苦しいです。

未解決事件とすることで、システム上犀華ちゃんは生きているか死んでいるかわからなくなります。
どちらかわからない状況というのは、生きているかもしれないという一縷の望みを持てます。
妻のためにも未解決事件にしてほしい、と言った公正さんの気持ちもわからなくもない。

悲しいお話でしたね…。


ゲームの終わりに、作者からのメッセージがあります。

「各自図生」は韓国の漢字熟語らしく、各自が生き残る方法を探る、という意味みたいです。
今の時代、自分が生き残るのに必死で、他人のことなんか構ってられないよね。というニュアンスが感じられます。

今の韓国の情勢も雰囲気もわかりませんが、他人に理由なく優しくできる人が減っているのかな。
それは日本も同じような気がします。

作者はこのゲームを通して、理由なく優しくした時に得られるものを思い出して、感じて欲しいのかなという気持ちが伝わってきます。

誰かが誰かのために、少しだけ嘘をつく。
それは優しい嘘であり、誰かを想った行動でした。

他人への思いやりや優しさを少し思い出させてくれる、そんなゲームでした。
素晴らしいゲームをありがとう!

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ori
ありがとうございます!生きる糧になります…!🥹✨