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神宮外苑でみた大道芸【2011年11月】

2011年11月の、とある土曜日に見たもの。

明治神宮の周辺に位置するいわゆる神宮外苑はいちょう並木の名所でもあり、例年開催される「いちょう祭り」へ行ってきました。
色づくいちょうを見物し、いくつものテントに数多くの模擬店が出店され、多くの人がいちょう祭りを楽しんでいました。

時刻は早くも陽が傾き始めた午後二時半近く、メイン会場の一角で赤のカットソーに黒いジャケット姿の男性がお客さんを集めて風船づくりをしていました。
おしゃべりしながら細長い風船を、実に手際よくねじっている姿から察するに、男性は大道芸人の人のようです。
これから始まるショータイムの前にお客さんを集めたいと言っていましたが、その風船づくりの時点ですでに100人近くのお客さんが見物していました。
出来上がった風船は、ピンクのハートの中にでずにーキャラが並んだとてもキュートなものでした。

サイコロを使った細かい芸の後、火を使った芸をしました。
たいまつ(?)がぼーぼー燃えてます。
そのぼーぼー燃えるたいまつ(?)を3本使ってのジャグリング。
毒気のあるちょっぴり辛口なトークを交えながらぐぃんぐぃん回してます。
屋外での迫力あるパフォーマンスにお客さんの大きな拍手が盛り上がりを象徴していました。
しかし圧巻なのはここから先でした。

大道芸人の人は、台に筒を乗せその上に板を置きました。
いとも簡単に飛び乗ると、ぐらぐらとしながら巧みにバランスをとりました。
手には、小学生が使うフラフープよりもはるかに小さな輪。
ぐらぐらの上でバランスをとりながら前かがみになり、小さな輪をお尻に当てました。
お尻がすっぽり入る輪のサイズ(というかほぼぴったりぐらいのサイズ)、でイメージがつくでしょうか?
ぐらぐらの上で前かがみの状態から、まるでタコが蛸壺へ入っていくように、お尻の方から輪をくぐり、スルスルとくぐっていきついには頭の先からするりと輪を抜けました!
体の柔軟性も驚きですが、なによりぐらぐらしている上で常にバランスをとりながらやっているのが驚異的です。
そのつづきには、さらなる衝撃が待っていました。
先ほどと同じサイズの小さな輪を3つ手にすると、足の下を通してから、3つの輪を今度は頭からくぐっていき、するっと3つの輪を抜けてしまいました、しかもぐらぐらの上で。
すごすぎる。
夢でも見ているようです。
なんだ、これは夢か。
いや、夢じゃあない。
その証拠に大道芸人の人がぐらぐらの上で3つの輪を抜けた時、お客さんから大きな拍手と驚きの声が上がっていたからです。
見ていた誰もが同じように、驚き、思わず拍手をしました。
集まった知らない人だらけなのに、みんなが同じように驚き楽しむこの一体感。
大道芸の醍醐味です。

その後、台の上に筒を縦に置き、その上に筒をゴロゴロと寝かせて置き、さらにその上に筒をたてに乗せました。
その上に板を。
ぐらぐら天国ですわ。
大道芸人の人は、夏目漱石の『こゝろ』の登場人物のように激しく揺れるその板の上に乗ると、そこでジャグリングを披露しました。
手拍子から拍手へ。
盛り上がりは最高潮。

最後は、台の上に筒を縦に置き、その上に筒をゴロゴロと寝かせて置き、さらにその上に筒をたてに、その上に筒を寝かせて置き、さらにさらにその上に筒をたてに、そして板を乗せました。
筒が五段重ねになっている状態です。
ぐらぐら天国を超えて、ぐらぐらメガ盛り天国です。
そこに乗って立ち上がろうというのですから、ネコのような平衡感覚が求められます。
右足を板の上に乗せるものの、なかなか成功せず。
高く積み上げられた筒が派手に崩れて転がりました。
大道芸人の人の挑戦する姿に、お客さんも心配と緊張が混ざりあう視線を向け続けます。
「がんばれ〜」の声も。
そして、五段重ねの筒の上、板の上で立ち上がり成功を見せた大道芸人の人!
湧き上がる「お〜〜〜〜〜っ!!」
大きな拍手があたりを包み込みました。

大道芸人の人の見せる高い技術。
集まった多くのお客さんの一体感を持った盛り上がり。
大道芸の醍醐味を体感できた時間でした。

おわり

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