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(2024年12月)上野でみた大道芸 その2

(つづき)

新年も間近に迫っているので、とにかく寒い。
上野恩賜公園の中央にある広場を背にしながらメインの通りをよろよろと歩いていく。
日向になれば暖かさを感じる瞬間はあるものの、それよりもやはり寒さが先に立ちます。
顔だけの上野大仏(「頭だけ」ではなく「顔だけ」がポイント)を見たりしながら寒空の下を歩いていると、蝶ネクタイをつけた面長(おもなが)の男性がおりました。
男性はなんかすごく目を引く物体をいくつも抱えていました。
バケツほどの大きさで底の平らな複数のコーンです。
しかも赤、黄色、緑の3色あって、華やかに見える。
3色がそれぞれ4個ずつ、合計12個のコーンを手早く地面に置いたり重ねたりしていました。
すでに50人ほどが足を止めて遠巻きに見ています。
BGMの音楽が終わるのと同時に12個のコーンがきれいに重ね納められると、見ていた人たちから拍手がされました。
男性がもっと近くで見るようにと両手で手招きされると、集まっていた人たちはぐぐぐっと一気に近づいて、ある種の空間が作られました。

先ほどまで使っていたバケツほど大きさのコーンをいくつか積み上げ、その上に天板を置いて簡易的にテーブル出来上がり。
そこへ4個のサイコロを並べました。
丁半博打よろしく右手に持ったカップを左右に降りながらサイコロをカップの中へ順番におさめていきます。
さらりとカップを持ち上げると、、、
なんと4個のサイコロがきれいに積み上がっているじゃあありませんか。
こまかいけど、すごい。
その芸のバリエーションを見せながら、最後は4個並べたサイコロをワンアクションでカップの中に入れ、そして立たせるという難しそうなことをやっていました。

今度は手にしたオレンジ色、黄色、緑の3色のプラスチックカップを宙に投げ上げました。
プラスチックのカップは、右へ、左へ、上へ、自在に動きながら、重なりながら、お客さんを楽しませました。
最後に左右の手に3個づつ持ったカップが気持ちよく収まると、お~!の声、そして拍手。
そこそこな数のお客さんが集まっていましたが、海外の人たちはお時間に限りがあるのか次々と離脱していっていました。

つづいて見せたのは、冒頭で使っていたバケツサイズのコーン1つと、4つのボールを使ってのアクションです。
ここで、見ていた少年一名をお手伝いとして連れ出しました。
男性が投げる4つのボールを次々とコーンでキャッチ。
こういう場面は大人でもドキドキしてしまうものですが、男性からのアドバイスに少年はうまくこなしていました。
これにより見ている方も大道芸への一体感がぐっと増していました。

ここまでショーとして見せていたカップを使ったパフォーマンスは「スポーツスタッキング」という競技としての姿があるようです。
12個のカップを使って、簡単だけどわかりやすく説明してくれました。
競技としての大会では1/1000秒単位で記録を測定するそうです。
昼寝が特技ののび太くんが眠りにつくまでの睡眠タイムはわずか0.93秒、つまり1/100秒単位で能力が判明しているわけですが、スポーツスタッキングはそれよりももっとシビアな世界ということになります。
そしてこの男性、なんとその競技の世界チャンピオンだそうです。
世界大会で記録している8秒台の早技を目の前で見せてくれるという。
チャンピオンタイム?
お客さんが見守るなか、9秒から始まるカウントダウンと共にスタート。
そして、、、大成功!
歓声。
大きな拍手から手拍子へと変わり、その流れのままエキシビション的なカップパフォーマンスへと続いていきました。

どんなことでも世界チャンピオンになるためには、相当の努力と熱量を持って練習を続けた結果ということになると思うけれど、それをごく至近距離で見られるというのもまた大道芸の良いところかもしれないと思いました。
そしてそれをショーとして展開させ、見る人を楽しませるのがすごいね。

おわり

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