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山下公園でみた大道芸【2009年6月】

2009年6月の、とある土曜日に見たもの。

横浜の観光スポットのひとつ山下公園へ行きました。
小綺麗に整備された公園内は若い人、外国人の人、散歩を楽しんでいるような長閑(のどか)さが見られ、人々の往来も多くありました。
夕方はいっとき曇り空となったものの、6月も半ばとなると夏の気配をひたひたと感じます。
さて時間は夜8時をずいぶん回ったころ、山下公園はとっぷり日が暮れても人の流れは途絶えていませんでした。
公園内の一画に、夜間工事の発電機を使ったようなライトで明るくなった箇所がありました。
音楽をBGMにするようにしながら、そこで男性がヘッドセットマイクでなにやらぼそぼそしゃべってます。
細長い風船やマジックをやって人を集めようとしているところを見ると、その男性は大道芸人の人のようです。
あっという間に人だかりが出来ていました。

ほどなくして集まってきたお客さんを相手に3つのボールを使ってジャグリングをしていました。
夜も8時半を過ぎていたので、辺りはしっかり暗い。
驚くことに、そんな暗闇の中で大道芸人の人の行うジャグリングのボールは白・青・オレンジ色に発光していました。
まるで蛍のよう、ではないけれど、大道芸人の人が投げるボールがカラフルな光の軌跡を描きながら浮かび上がり、まるで星が手のひらの上で踊っているようです。
つづいての大道芸でよく見かけるコマを使った道具、これまたコマが発光しています。
光と動きが織りなす美しさは、昼間では見ることのできない特別な体験であり、まるで異次元の空間に引き込まれたかのような味わいです。
見ているお客さんたちは時間的にゆとりのある人も多いようで、どっかり地面に座って見ている人も大勢おり、その後ろには二重三重の立見の人垣もできていました。

大道芸人の人は持ち出してきたたいまつに火を点けました。
よく燃えてます。
たいまつを1本お客さんに手渡すと、それを投げ入れてもらいジャグリングをスタートすると言います。
火の点いたたいまつを大道芸人の人は左右の手にそれぞれ持ち、3本目のたいまつが投げ入れられるのを待ちます。
燃え盛る炎に緊張感が走る。
弧を描くようにお客さんから投げられたたいまつを見事キャッチすると同時にファイヤージャグリングがスタートしました!
ジャグリングしながらアゴの上に立てたり、素早く回転させたり、足の下をくぐしたり。
燃える3本のたいまつで、これでもかと次から次へと連続して技を見せます。
思わず出てしまう「お~~~!」や「え~~~!!」の感嘆の声。
お客さんの撮る写真のフラッシュがあちこちから何度も光る。
炎の明かりが闇夜に映え、大きな盛り上がりを見せていました。
そして大きな一輪車を出してきて乗ると、再びお客さんにたいまつを投げ入れてもらいます。
一輪車に乗りながら、燃えながら投げ回し続けられる3本のたいまつ。
たいまつを投げ回している間中、拍手が鳴り止みません。
しかも大道芸人の人はずっとしゃべりながらやっている。
盛り上がりも最高潮です。

しかしそれで終わりではなかった。
最高潮の盛り上がりを維持したまま、大きな一輪車に乗りながらたいまつ、ナイフ、リンゴ、重さも形も違う3つのものを同時に投げ回すはなれ技を披露。
観客からは、すごい!の声が遠慮なく聞こえてきます。
異議なし。
ピーピーと指笛もこだましています。
3つを投げ回しながら、BGMの音楽が途切れた一瞬。
ガリッ!
というリンゴをかじる音。
その瞬間、お客さんの歓声と拍手がより一層大きくなりました。
大道芸人の人のパフォーマンス、大道芸に対するお客さんの一体感、楽しいことが足し算ではなく掛け算となっていました。
最後のほうは3つのものを投げながら、リンゴだけをテンポ良く何度もかじっていってました。
ずいぶん気前がいい。
フィニッシュでナイフの先端にリンゴを突き刺す。
が、失敗。
残念な感じで地面にコロコロと転がるリンゴを、先ほどジャグリング協力したお客さんがあわてて拾い大道芸人の人に手渡す。
再度のフィニッシュでリンゴがナイフの先にぷすっと刺さると、拍手はいつまでも鳴り止みませんでした。

時間も夜の9時となり良い子はもう寝る時間でしたが、見終わった大勢のお客さんはみな、大道芸に興奮しすぎてアドレナリン出まくってる様子で次々と投げ銭を入れていくのでした。

おわり

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