上野でみた大道芸【2009年3月】
2009年3月の、とある祝日に見たもの。
3月、気候も良くなってきた春先の上野恩賜公園に行ってみました。
大きな噴水の見える広場の片隅に、男性が一人。
地面に引かれたロープをステージがわりにするように立っていました。
昼下がりの上野公園を行く人々に対してなにかパフォーマンス的なものを見せようとしているようです。
ゆったりと散歩を楽しむ人もいるし、上野公園といえば敷地内に日本屈指の動物園である上野動物園、あるいは複数の有名美術館や博物館もあり、訪れる人の目的は様々です。
そんな人々の足を止めさせようと、男性は二本の棒につながった紐を使って、まるでお椀をふたつ背中合わせにしたような道具を巧みに操り始めました。
すると興味を持った人たちが次々と立ち止まり、眺め始めました。
男性に促されるままお客さんは近づき、小中学生ぐらいの年齢の人たちは腰を下ろして見物しはじめました。
軽く盛り上がりを見せた後、男性は珍しい道具を取り出してきました。
見たこともない不思議な道具です。
リングの中心部に二つのハンドベルが取り付けられていました。
その道具が8つ。
「はち」といえば、うっかり八兵衛の愛称ですが、今回はうっかり八兵衛はまったく無関係のようです。
しかし我々はなぜその道具が8つなのか真相を知ることとなりました。
理由は一つ、ハンドベルの音階に合わせてド、レ、ミ、、、、からドまで、つまり8種類が必要だったのです。
男性はその道具を3つ持つと、ジャグリングをするように(というか多分それはジャグリングというのだと思う)順番に空中に投げ上げました。
宙に投げ上げられ、また掴んで揺らすことにより、ドレミの歌「♪ドはドーナツのド〜」のメロディーとなったのです。
わかったお客さんから拍手が起こりました。
それから「レはレモンのレ〜」「ミはみんなのミ〜」と順番に続いていきました。
曲が進み音階が増えてくると、その道具をいくつか地面に設置して、空中へ投げたり、足で操作したりと駆使しながら、ドレミの歌を演奏?していました。
何かを思い出した飛吉氏。
それは。
♪ラはラッパのラ〜
「ラッパ」という言葉は、しりとりぐらいでしか使用されないと思っていましたが、そういえばこのドレミの歌でも珍重される稀有な存在であることを改めて思い出しました。
ラッパは偉大。
途中、間違えた音階を鳴らしてしまい「あっ、まちがえた」
そんな時でもお客さんからハハハハハ、、、と笑いが起こり微笑ましく見ていられるのが大道芸らしくていい感じです。
まだ練習中らしく、綺麗なメロディーとまではいかず、「そう聞こえる」レベルではあったけれど、なんか物珍しく、ハンドベルの音色にちょっと幸せになれるパフォーマンスでした。
(シが幸せだからかな)
その後に、大きな水晶玉や、小ぶりな水晶玉を4個使った心洗われるような不思議な芸を見せてくれました。
ぐいぐいお客さんが惹きつけられて行くように見えます。
最後は、輪っかを使っていました。
3つの輪が放物線を描くように宙に舞っていました。
続けて5つの輪が次々と空中に投げ上げられ、美しい回転を繰り返し、最終的には男性の頭頂をとおって首(というか両肩?)におさめられていきました。
輪を投げ始めてからずっと続いていたお客さんの拍手喝采はよりいっそう大きくなり、一番の拍手と歓声で盛り上がりを見せてショーは終了しました。
言葉のイントネーションが関西出身のかたらしく、鮮やかなテクニックを炸裂させるにもかかわらず、全体を通してどこか温かみのあるパフォーマンスでした。
おわり