「近代日本語をつくった人々」シリーズ(私広告3)

「近代日本語」とは、大雑把に言えば明治以降に生まれた日本語のことである。もうちょっと厳密に言えば、幕末以降の日本語である。それ以前の言葉とは違う日本語であり、また、欧米語の影響下で出て来た「ぽっと出」の日本語である。
 このあたりで、日本語は「革命」といっていい変化を遂げた。ようするに、江戸時代までの言葉(語彙)では太刀打ちできない「文物(ものごとなど)」を言い表せるだけのものに、日本語が鍛えられたのである。
 文明開化は、なにも、汽車(陸蒸気)、汽船、ガス灯、電信、電気などという単なる物だけがもたらしたわけではない。確かに、それら単なる物は、ただそれだけで大きな変革を明治時代にもたらしたわけではあるが、それ以上に精神的なもの(目に見えないもの)が時代を先に進めたのだと、私は思っている。
 この「単なる物」と「精神的なもの」とのインターフェイス、「それらのもの(精神的なもの)」と我々とのインターフェイスが言語にほかならない。
 例を挙げたほうがわかりやすいかもしれない。「世間」しかなかった時代には「社会」を論じられなかったはずだ。このふたつの違いは、「世間」はいつの間にかそこにあるもので、「社会」は、我々がつくるものであることだ。これは、語意ではなく、信条である。
 私は「近代日本語」の成立史を知りたいと思い、その目的でいろいろな本を読んできた。だが、ジャストフィットという書籍は見つからず、その周辺をぐるぐる回るだけであった。
 どこかに、この私の欲求を満たす書籍があるはずだと思う。だが、私の無知蒙昧のせいで、探し出せないのだろう。
 このシリーズは、その周辺をぐるぐると回った遍歴を語ったものである。
 ジャストフィットにはまったく届かないが、「近代日本語をつくった人々」シリーズは、「様子が多少なりともわかる」程度にはなっているのではないかと思っている。
 以下の記事が、「近代日本語をつくった人々」シリーズに該当する。表題をご覧いただくだけで、どういう経路で私が「近代日本語」にアプローチしようとしたかは、おわかりいただけるのではないかと思う。

・近代日本語に着目した理由0406
・語彙が、自国語では足らない0407
・中華人民共和国0408
・音楽同様、日本語も幕末前後で断層がある0409
・機縁と契機0410
・明治時代の言語の断層0411
・『江戸時代の通訳官』0412
・博物、写真10413
・写真、博物20414
・江戸語・東京語・標準語0417
・渡辺崋山0418
・『蘭学事始』0419
・コンピュータ語/カタカナ語0420
・世界0421
・発明語一覧0424
・にせ発明語0425
・福澤諭吉0426
・西周(にし あまね)0427
・森有礼0428
・明六社、『明六雑誌』0501
・華英・英華の辞書0502
・『哲学字彙』0503
・自然0504
・英語がひとつで訳語がいっぱい0505
・『翻訳語成立事情』0507
 ファイルで言うと、
・シェアハウス・ロック2404初旬投稿分
・シェアハウス・ロック2404中旬投稿分
・シェアハウス・ロック2404下旬投稿分
・シェアハウス・ロック2405初旬投稿分
の4本が該当する。

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