シェアハウス・ロック(or日録)0216

パス旅行 

 標題はバス旅行の誤記ではない。パス旅行。濁点ではなく、半濁点。シルバーパス(以下SPと略)のパスである。東京都のSPは、都内であれば都営交通、バス(私バスを含む)に乗り放題という、天下無敵の通行証だ。このSPが目に入らぬか!
 パス旅行はSPで行けるところまで行くという主旨であり、最寄り駅の立ち飲みバーに蝟集する老人会の研修旅行だ。なにを研修するものやら。
 首謀者は我がシェアハウスのおばさん、14日の参加者は毎度おなじみケイコさん、マエダ(夫妻)、私である。これで老人会のフルメンバー。たいした老人会ではないことがわかる。同立ち飲みバーの常連であるHさんも、名誉老人として参加を求めようという迷惑千万な動きもある。たぶん断られるだろう。私がHさんの立場だったら断る。
 最寄り駅から新宿までは残念ながらSPは使えないのだが、新宿から都バス・練馬車庫前行に乗るところからはSP。だから、正確にはここからがパス旅行である。
 まず、椿山荘前で降り、椿山荘の庭園を散策。ここはなかなかの庭園である。山県有朋の別邸かなんかだったらしい。
 再び練馬車庫前行に乗り、左手に田中角栄邸を見て、鬼子母神前で降りる。
 鬼子母神の商店街を鬼子母神境内の方向に歩き、商店街なかほどの「サムシング」という喫茶店で一服。
 鬼子母神に行き、お参りをし、境内の駄菓子屋で麩菓子、カルメ焼きを買って、都電の駅へ戻る。
 ああそうそう。ここの鬼子母神は、正確には鬼の字の上のチョンがない。でもそんなフォントはないので、鬼にするしかない。
 もうひとつ、雑司ヶ谷七福神なるものがあることを、今回発見した。ただ、ここの七福神は寿老人の代わりに吉祥天が参加している。男女機会均等法施行後の七福神と見える。もっとも、寿老人と福禄寿は同一人物だという説もある。
 鬼子母神前から都電に乗車し、大塚駅を通り越し、サンシャインシティを車内から見て、庚申塚下車。
「さあさ 着いた 着きました」(島倉千代子、『東京だよ、おっかさん』)。だが、着いたのは浅草ではなく、お婆ちゃんの原宿、巣鴨商店街である。14日は巣鴨地蔵のお縁日なのである。ちなみに、4のつく日が縁日。
 縁日の店をひやかしながら、みょうが屋に向かう。ここは居酒屋。いい店である。おばさんと私も、この店でよく飲み食いしていたが、我が畏友その1もこの店の常連である。どっちがどっちに教えたというわけではなく、それぞれ独自にこの店に行っていたわけである。どれだけいい店かがわかろうというものだ。
 お昼時にその店に着き、さんざ飲み食いし、最後に都営地下鉄に乗り、新宿へ。これがSP最後のご奉公である。
 最寄り駅では、当然立ち飲みバーに寄り、そこで仕上げの一杯を飲み、解散。
 マエダ(夫)も、みょうが屋が気に入ったみたいで、幸甚の至り。
 次回のパス旅行は、谷中銀座ツァーに決定した。老人会は、ますます元気である。これも幸甚。

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