面談【後編】

こちらがどうぞという前にズカズカと座り
スマホを弄り出す。
「2ヶ月連続ナンバー1おめでとう」
「どーもー」


宝瓶宮　水穂は当然と言った顔だ。
スマホから目線は外さない。
「本来であれば、労いの言葉を惜しみなく送りたいのだけど、水穂さん…ルール違反してるわね」
「ふふ、ルールって破るためにあるんですよ」
「認めるのね。生でやってること」　

「榮さんですか？まぁバレるならそこしかないですよね」
「経緯としては榮さんが他の宮に入った際､
なぜ宝瓶宮以外では生でできないのかという話が平店長からきて、榮さんが入った宮の娘達から話を聞いたところ､やはり宝瓶宮では生でしたのに
なぜできないと説教を受けたそうです」

「うすうす気づいてたくせに。白々しい。
どうせ、後釜の目処が立ったんでしょ？
最近､サイデリアルからの昇格､断られてんでしょ。システムの限界なんですよ」

「主張があるなら聞くわよ」
「いくら手取り10とはいえ、こんな過酷な競争じゃ精神やられますよ。昭和の体育系のノリなんですよ」
「ハイリスクハイリターンがモットーなの
ご不満なら、他に行きなさい」

「お客さん側からしたらハイリスクローリターンですよね。だって、パネマジのひどいオバさんが5、6人いますよね」
「彼女達は長い時間をかけて築いた常連様たちと高い技術､ホスピタリティがあるわ。年齢だけがすべてではないわ」
「あたし､ソープの最高のホスピタルって生でさせてあげることだと思うんですよね」

「トロピカルはいえ､川﨑堀之内は原則着用店のみなの。そういう考えなら南町か吉原方面に行きなさい」
「その古臭い風習を打破するべきじゃないんですか。川﨑堀之内のトップに君臨するトロピカルが」
「歴代宝瓶宮は確かに様々な改革案をあげてきたわ。でもこればかりは川﨑堀之内で営業する以上認められないの」

「はいはい、クビですか？」
「残念ながらね」
「ネットでトロピカルってかデスティニー系はもうオワコンって書かれてるの知ってますよね」
「現状維持でいいとは思ってないわ。
ただ､NS店になるという選択肢はないわ」

「最後に、榮さん、どうすんですか。
もういい加減出禁ですよね」
「まだNGをだしてない娘がいる以上
　トロピカルの登楼は制限しないわ」

「あの人､教育委員会のお偉方だったんでしょ。地元のPTAとかを押さえつけてくれたから
　頭が上がらないって話､本当なんですねー」
「色々と噂があるようだけど、お客様の個人情報に関わる事なので、ノーコメントね」

「そうですかー、あと噂話といえば､
鷹月さんが今の立場にいるのは､当時の地元の代議士が赤ちゃんプレイが好きで鷹月さんがママ役で
寵愛されてたってホントですか？」
「個人情報に関わることなのでお答えできかねます。」
「お世話になりました〜」

今日は飲みに行こう。

了