見出し画像

予防保全

昨日、地元のIT企業の社長さん(60歳くらい男性)と面談があった。ITフェアで意気投合した若い営業さんが、場をセッティングしてくれたのだ。
テーマは「予防保全センサーの開発」について。
カタログを見る限り、この企業にそのソリューションはなかったが、社長の経験、特にプラントでの経験に基づく知見を共有してもらった。

医療業界における予防保全の可能性
まず私から、医療機器が故障することの意味や影響、実は日本製の医療機器が世界中で活躍をしていて、非常に複雑な動作をコンパクトな機器に詰め込んでいることなど。

社長からは、産業界では予防保全がある程度普及しているものの、「100%の故障予防はできない」ことから「十分な収益モデルが確立されていない」とのこと。
プラント業界では、重要な装置に対して重点的にメンテナンスを実施する手法が一般的で、センサーに任せず、従業員が日々、目を光らせているとのこと。

社長から、医療機器は基本TBMかBMだねと言われた。
Time Based Maintenance:時間基準保全
BM: Breakdown Maintenance:ブレークダウンメンテナンス

TBMは、累積運転時間に基づいて定期的に行うメンテナンスで、いわゆる医療機器の保守点検
• 定期点検に基づくため、保全計画が立てやすい
• 比較的簡単に運用可能

デメリットとしては、
• 突発的な故障リスクを完全には回避できない
• 必要のない部品を交換する場合があり、コスト効率が悪くなる
• 部品寿命を最大限に活用できない可能性がある

BMは胸が痛い。。。
別名、事後保全といわれ、設備が故障した後に修理や部品交換を行う手法で、前の会社ではチェンジニアと言われていた。
突発的なトラブルに対応するため、定時外の作業や交換部品の在庫が必要になり、大慌て、結果原因究明がおろそかになり、再発という悪循環に陥る。

一方で、センサーを活用したようなのが、

CBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)

設備の状態をリアルタイムで監視し、その状態に基づいてメンテナンスを行う手法。

CBMのメリット:
• 不要なメンテナンスコストを抑制
• 設備の稼働率を最大化
• 突発的な故障リスクを最小化
• 部品の寿命を最大限活用

CBMのデメリット:
• 導入コストが高い
• 高度な技術と知識が必要
• システムの構築と運用が複雑

ただ、エンジニアの視点からは、CBMには高度な技術やアルゴリズムが求められるためハードルが高いと感じられる一方で、エンジニア自身のスキルアップやモチベーション向上につながる可能性があるのではと。
最近のエンジニアは、非常に高学歴で勉強熱心。日々の定期点検だけでは、すぐに嫌気がさして辞めてしまう。

医療業界ならではのチャンス

医療業界は、工場やプラントと異なる特性が当然あり、予防保全がより価値を発揮するのではないだろうか。また、エンジニアの能力開発を支援しつつ、医療現場の効率化や安全性向上に貢献できるんじゃないだろうか。

予想外に予防保全に詳しい社長さんとお話ができたことで、今後、このテーマを通じて一緒に新しい取り組みができる、良いパートナーシップが築けるのではないかと期待している。ご子息はどうも放射線技師?世間は狭い。。

以上が昨日の気づきと学び。

いいなと思ったら応援しよう!