レッスン開講前に考えること:Afterその1
では、レッスン終了後のAfterを考えてみます。
Afterとは、つまり、そのレッスンを受講した後に、何がどこまでできるようになっているか、というゴール設定になります。
このゴールをビシッと決めることが最も肝心なところです。
まずはゴール設定に関して二つの考え方をご紹介します。履修主義と修得主義です。
例えば3回レッスンを受けたらコース修了、というのを履修主義と言います。要は参加さえしておけばOK、ということですね。しかし参加したからといって、誰もが同じレベルに到達する保証なんてないですよね。
一方、身につけるべきことがちゃんと身についたのかどうかを確認してレッスン修了とする考え方を習得主義といいます。教習所の技能検定が良い例です。技能の見極めでOKをもらえて仮免をもらえますよね。あれです。
ではこれからレッスンを組み立てる場合、どちらの方針でいきましょうか。
身近なレッスンを見渡してみて、どうでしょうか。
なんとなくですが、お料理教室は履修主義が多い印象があります。それは料理の腕を上げると言うよりは、レシピの伝授であったり、料理を実際に作って食べてみる、という体験価値が重要な要素ということもあるかもしれません。あとは、スキルの上達度合いを計りづらいという理由もあるかもしれません。
一方、水泳や英会話、楽器教室などは修得主義が浸透しているように思います。例えば水泳は50メートルのタイムを計って、規定タイムをクリアしたら一つ進級できますし、英会話も先生との会話レベルチェックが設けられていることが多いですよね。ということで級やレベルを設定することで、さらに上のレベルを目指すモチベーションが可視化しやすくなっていますよね。
さて、ではこれから新しくレッスンを開講する場合どちらの方針で組み立てていけば良いのでしょうか。せっかくレッスンを受けてもらうんだから、やっぱりちゃんとマスターしてもらいたいし、修得主義に基づいてコースを作っていこうかな、となるかもしれません。
では、修得主義に立脚して料理教室のレッスンを組み立てるとどうなるでしょうか。何度レッスンを受けてもなかなかうまくハンバーグを作れない不器用な生徒さんに、何度も同じレシピのレッスンを受けてもらえるでしょうか。あまり現実的とは言えないですよね。
ということで、履修主義一辺倒ではなく、修得主義と組み合わせて設計するのも一案です。
例えば料理のレパートリーを増やすコースは履修主義の考え方で設計し、明日の食卓にすぐに活用できそうなメニューを盛り込んで入門コースを作り、毎月定期的に開催する。
そして入門コースとは別に、料理に必要な技能について修得主義の考え方に基づいたスキルアップのための技能コースを用意すれば、料理のスキルもちゃんと上達するし、入門コースを取ることでお料理のレポートリーも増やせます。
この技能コースは、例えばみじん切りや短冊切り、出汁の取り方、魚の下拵えなど、料理を一品作るために必要なスキルを細かく要素分解し、それぞれのスキルについて何ができれば合格なのかを設定して、練習させて、確認する、というコースにします。
なんだか気の遠くなりそうな作業ですね。。。
ですので、どこの料理教室もやっていないのではないでしょうか。こんな手の込んだ料理教室はもはや料理教室というよりは、調理師の専門学校並みになってしまいますが、修得主義を貫くとそういうことになります。はい。
まぁ、貫く、というのもいとうつくしゅうございますが、なんといっても現実的ではないので、そういう考え方もあるのね、と頭の片隅に置きつつレッスンを作っていっていただけたらと思います。
また、すでにレッスンを開講されている先生方にとっては、やれるところから修得主義の考え方を少しずつ取り入れることで、レッスンの改善ができるかもしれません。
ということで、今日は履修主義と修得主義の考え方のお話でした。