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第2回:「日本型ファイナンスリース」がない理由

こんにちは、JOLアドバイザーです。

日本型オペレーティングリースの説明をしていると、会計や税務に明るい投資家から、以下の質問を受ける事があります。

「日本型オペレーティングリースは存在するのに、なぜ日本型ファイナンスリースは存在しないのか?」

これは日本型オペレーティングリースを理解する上で、非常に本質を突いた鋭い質問です。

そこで今回は「日本型ファイナンスリースが存在しない理由」についてお話します。

※私について知りたい方は、下記の自己紹介をご覧ください。


⒈リース取引の区分について

本題に入る前に、前提整理でリース取引は以下の2つに区分される事についてお話します。

⑴ファイナンスリース
⑵オペレーティングリース

 ⑴ファイナンスリースとは

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ファイナンスリースは「物件の借り手が支払うリース料総額が、貸し手が購入するリース物件価格を上回るリース契約」です。

もっと簡単に説明すると、リース会社が拠出した物件の購入価格と必要経費を、借り手から全額回収できるリース取引です。

その為、借り手が倒産しない限り、リース会社は当該リース事業にかかる費用全額をリース料から回収できます。


 ⑵オペレーティングリースとは

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オペレーティングリースは「物件の借り手が支払うリース料総額が、貸し手が購入するリース物件の価格を下回るリース契約」です。

もっと簡単に説明すると、リース会社が拠出した物件の購入価格と必要経費を、リース料だけでは全額回収できないリース取引です。

その為リース会社はリース料総額を回収する事に加え、物件を売却しなくては、利益を得る事ができないのです。

一般的なオペレーティングリース取引では、物件価格の70%相当をリース料総額で回収し、残りの30%相当は売却を通じて回収を行うケースが多いです。

借り手がオペレーティングリースを採用するメリットは、高額な物件を導入したい場合、現金購入と比較し安価で調達できる為です。

例えば、航空会社が100億円の航空機を導入したいと考えた場合、自社購入のケースでは航空会社が自ら100億円拠出する必要があります。

しかし、オペレーティングリースを活用すれば、リース会社が物件価格の30億円分は中古市場で航空機を売却し回収する前提のリースを提供してくれる為、航空会社が拠出するのは70億で済むのです。

貸し手であるリース会社も、中古市場が活発な物件であれば、リース期間満了後に当該物件を高値で売却し、大きな売却益を獲得できる可能性があります。

しかし、反対に物件の価値を正しく判断できないと、市場売却できず大きな損失を被る可能性もあります。

つまり、オペレーティングリースは、貸し手にとっては物件を売却するまで本当に儲かるのか確約が無いという、ギャンブル的要素が大きいリース取引と言えます。


⒉日本型ファイナンスリースが存在しない理由

前置きが長くなりましたがここからが今回の本題です。

日本型ファイナンスリースが存在しない理由は、そのスキームが存在した場合、理論上永遠に利益の繰り延べが可能になるからです。

上記でファイナンスリース取引の場合、リース物件の貸し手は、借り手から物件購入価格+必要経費をリース料で全額回収する事をご説明しました。

つまり、リース物件の貸し手となる投資家は、借り手が倒産しない限り確実に出資金が償還されるのです。

そして、その償還された資金をまた別の日本型ファイナンスリース案件に出資し続ければ、永遠に利益の繰り延べができます。

これは、国にとって納税が減るという問題に直結します。

そこで現在の税制では「出資金が確実に償還される見通しのリース事業への匿名組合出資の場合、当該リース事業から発生した損金を投資家が計上する事は認めない」という規定になっているのです。

その事から、仮に日本型ファイナンスリースを組成しても投資家は損金計上というメリットがなくなる為、商品として存在しないのです。

※ただし、損金計上を目的としたものではなく、純粋に配当を求める投資商品としての日本型ファイナンスリースは存在しますが、今回は本題から離れる為、その説明は別の機会に譲り今回は割愛します。


⒊日本型オペレーティングリースが存在する理由

一方で、日本型オペレーティングリースが認められる理由は、オーペレーティングリースという性質上、

「リース事業満了後にリース物件を中古市場で売却すまで利益が確定しないというリスクが伴うから」です。

つまり、売却するまで利益が確定しないというリスクを持つオペレーティングリースで、投資の側面を強調する事により、税制上も投資商品と認められ出資金相当の損金計上が可能となるのです。


⒋購入選択権の行使を前提に考えるのは危険

投資家の中には「日本型オペレーティングに出資しても、購入選択権が行使されて、出資金はそのタイミングで回収できる」と考えている方がいます。しかし、それは大きな誤認です。

何故なら、リース満了時の購入選択権行使が借り手の義務ならば、それは確実に出資金の回収が見込まれたファイナンスリース取引に該当し、そもそも損金計上が認められないのです。

購入選択権はリース物件の借り手に与えられた権利であり、購入義務ではありません。リース満了時にその権利を行使して物件を買い取るのも、行使をせずに終了させるのも借り手の自由なのです。

だから、出資をする際は、初年度損金算入率や、リース期間以上に、そのリース事業は本当に出資金が回収できるものなのかという事を判断する目線を持つ必要が有るのです。

※その目線は多岐に渡る為、これから記事で少しずつ書きためていきます。


⒌おまけ
レバレッジドリースは、ファイナンスリース

投資家の皆様の中で「レバレッジドリース」というスキームを耳にされた事がある方もいるかと思います。

この商品は、日本型オペレーティングリースの前身の商品ですが、2005年の税制改正により終焉を迎えました。

日本型オペレーティングリースと構造は一緒なのですが、比較し大きく2つ異なる点があり、その1つが「ファイナンスリースだった」という事です。

つまり、投資家が資金をリース事業に出資した場合、借り手が倒産しない限り確実に償還されたのです。

そして、償還された資金はまた新なレバレッジドリース事業に出資する事で、法人税の納付を永遠と回避できる構造になっていました。

投資経験豊富な投資家は「リース事業への投資による利益の繰り延べは、麻薬と同じで一度始めるとやめられない」とよく言いますが、その所以はここにあるのです。

多くの企業がそんな事ばかりしていては、日本は法人税の回収ができなくなります。

その為、税法上リース事業に出資し損金計上が認められるのは、一定のリスクを有している事が前提とする通達が国税局よりなされ、

その条件を満たすためには、物件を売却するまで利益が確定しないという日本型オペレーティングリースと事以外は認められていないというのが、現在の状況なのです。

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それではまた。

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