「せいをおかげに」くら寿司のエピソード
ジョブチューンの企画に挑戦
回転寿司の最大手「くら寿司」が、2019年6月に、挑戦しました。その結果は、10品4品が不合格となり、悔しい結果に終わりました。
その中でも特に悔しかったのが、看板メニューである「熟成まぐろ」は、7人中全員不合格で、感想も
「熟成がこんなに水っぽい訳が無い」
「残念なお寿司」
「マグロのいい所も何も感じなかった」
「問題外。もっと勉強をした方がいい」
と酷評でした。
言葉を失うほどのショックでしたが、看板メニューを酷評されたままではいられないと、再びリベンジすることを決意し、1月18日の放送でリベンジマッチが行われることになりました。
くら寿司は、リベンジマッチに向けて、東大の大学院と共同研究開発をするプロジェクトを実施し、熟成マグロの改良に取り組みました。
その内容やどういったものかというのは、こちらをご覧ください。
雪辱を晴らすために挑んだリベンジマッチは、10品中8品が合格となり、注目された「熟成まぐろ」は「極み熟成まぐろ」と進化し、最後の順番での挑戦となりました。
その結果は、
「全員合格」
見事にリベンジを果たしました。
その結果を受けて、涙を流して喜んでいました。
審査員の感想も、
「前回と比べ物にならないくらい美味しかった」
「ビックリしました。半年でこの進化は素晴らしい」
「素晴らしい企業努力」
「前回は偉そうなことを言って申し訳ございませんでした」
「こちらも勉強になりました」
と、全員大絶賛でした。
「全員不合格」だった前回とは真逆の「全員合格」で、正しく言うならば、リベンジではないかもしれませんが、前回の雪辱を晴らし、見事に喜びに変えることができました。
「"せい"を"おかげ"に」した雪辱と努力
テレビは未だに強い影響力を持っています。しかも土曜日のゴールデンタイムの放送ということで、その影響はとても大きいものがあります。私も見ていてついつい「くら寿司」に行きたくなっていまい、見事に踊らされていますから(笑)
今回のリベンジは、まさに「"せい"を"おかげ"に」したものだと言えます。
テレビなので、あれだけ看板メニューの「熟成マグロ」を酷評されて、注文や売り上げに、多少なりとも影響はあったでしょう。
「熟成マグロにしようかなぁ〜」
「この間ジョブチューンで、美味しくないって言ってたよ〜。違うのにしたら?」
「そうなの!?じゃあ違うのにしよっと!」
なぁんて会話があったかもしれませんね。
いろんな声もあり、励ましも頂いたと言われたそうですが、それが全て報われたと。
ジョブジューンの企画に挑戦して、酷評を受けたことで、売り上げがどれだけ変わったかはわかりません。ただ、酷評を受けたことを、"せい"にすることはできます。それまでの企業努力や一番人気の看板メニューを全否定されたわけですから。
くら寿司にとっては、自信満々で臨んだかもしれませんが、相当なリスクがあったのは間違いありません。そこで雪辱を受けたわけですが、もし、「全員不合格」ではなく、僅差の不合格だったら、東大と共同開発するようなプロジェクトをすることもなく、今回の「全員合格」という結果もなかったでしょう。「全員不合格」の雪辱を、「全員合格」という結果で晴らし、涙を流すほどの感動や、「全て報われた」と思うこともなかったでしょう。
"せい"を"おかげ"にできる感動
悔しさが大きいいほど、晴らした時のカタルシスは大きくなります。
全員不合格だったからこそ、多額の出資をして、プロジェクトに取り組んだんだと思います。
「全員不合格」という結果になり、酷評された悔しさがあった"おかげ"で、より、絶賛されるネタを作ることができ、感動を得られたのです。きっとこの放送を受けて、くら寿司はいつも以上にお客さんが殺到するのではないでしょうか?そして、「極み熟成まぐろ」を注文する人も増えるでしょうし、半年前以上の売り上げにもなるのかもしれません。
もし、"せい"にしていて企業努力をせず変わらずにいたら、何も変わらない現実どころか、経営が悪化したかもしれません。でも、逃げずに、現実を受け止め、悔しさが原動力となり、一大プロジェクトを実行しました。
今回のくら寿司のエピソードは、道楽舎の理念を証明するものだと思いました。
どんな辛い経験も嫌なことも、受け入れて向き合えば"おかげ"に変えることができる。
そして、悔しければ悔しいほど、雪辱を晴らした時の感動は大きくなります。それは、向き合った者にしかわからないことだと思いますが、自分の中の"せい"にしたいことがあったとしたら、"おかげ"に変えることができることを教えてくれた、素晴らしいエピソードだと思います。
くら寿司に言った時、「極み熟成まぐろ」がどれだけ美味しいか、いずれレポートしたいと思います(笑)