「レンタルなんもしない人」をウラヨミ
「レンタルなんもしない人」とは
「レンタルなんもしない人」をご存知でしょうか?
簡単に紹介しますが、なんにもしない人をレンタルするというサービスです。
もうちょっと詳しく説明しますが(笑)、その名の通り、主にツイッターなどでレンタル依頼をして、なんにもしなくていい用件なら、レンタルすることができます。森本祥司さんという方が「レンタルなんもしない人」です。
わかりやすく、ご本人のツイッターの固定ツイートから引用させていただきますが、
「『レンタルなんもしない人』というサービスを始めます。1人で入りにくい店、ゲームの人数あわせ、花見の場所とりなど、ただ1人分の人間の存在だけが必要なシーンでご利用ください。
国分寺駅からの交通費と飲食代だけ(かかれば)もらいます。ごく簡単なうけこたえ以外なんもできかねます。」
ということだそうです。つまり、交通費と飲食代を支払えば、レンタルすることができるそうです。一応、時間などの利用制限はないそうですが、一日3件くらいスケジュールは埋まっているそうなので、長時間の拘留は難しそうです。
どんな人が利用しているのか
「レンタル彼氏」や「レンタル彼女」というものがあり、それらを利用するならわかりますが、「なんもしない人」をレンタルする必要があるのでしょうか?そう思えますが、先述した通り、1日に3件も予約が入っているほどなので、需要はあるようですね。
では、「なんにもしない人」をどんな人が利用しているのでしょうか?
例えば、一人では入れないカフェに行く為に同行してもらう(料金はもちろん依頼主持ち)。一人カラオケで物足りなくなって、無反応でもいいから観客が欲しい人。路上でイベントをする時、一人だと不安な人。誰も見送りがいない時に、見送り役として依頼する人。写真を撮りたくてモデルになってもらう。などなど、一人ではでできないことを、何もしなくても実現させられることであれば、交通費と飲食費だけと言う格安でレンタルすることができるのです。
「レンタルなんもしない人」で儲かるのか?
交通費と飲食費という、最低限の費用で果たして成り立つのでしょうか?
交通費と飲食費は、言わば最低限の経費でしかないので利益がなく、仕事として成り立つわけがありません。
なのになぜ、「レンタルなんもしない人」をしているのでしょうか?
ちなみにこの方は、嫁子供もいます。奥様は仕事をしていて子供は2歳。それでもお金にならないレンタルをしているのはなぜでしょうか。
それは、彼の経歴に原因があります。大学で物理学を専攻し、相対性理論を学んでいたそうですが、卒業後は教材系の仕事に就き仕事をしていたら、毎日決まった人間関係でコミュニケーションを取らなければいけないことが苦手で、会社に居づらくなり、広告業界に転職したものの、そこでも馴染めずに長続きしなかったそうです。そこで、「自分はなんもしたくない」という欲求が強いことに気付いたそうです。
SNSで「プロ奢ラレイヤー」という存在を知った時に、今のサービスを思いついたそうですが、それからレンタルを始めたそうです。そして、「存在することに価値がある」ということの証明したいという思いもあるそうですが、これは一つの理由付けなだけで、本質は「なんもしたくない」という、本当なら認めたくない自分の本質を認めたことが一番なのではないかと思います。
奥様は、そんな旦那の活動を受け入れているそうですが、それも中々凄いことですよね(^^;。夫婦は夫婦にしかわからないことがあるし、きっとレンタルさん自身が今まで苦しんできて、自分と向き合って、本気で「レンタルなんもしない人」をやっていることを知っているから、成り立っているんだと思います。
「レンタルなんもしない人」は無料オファー?
「レンタルなんもしない人」で儲からないということはわかりました。それが成り立っていることも、奥様の理解あってのことですが、お金にならない「レンタルなんもしない人」話題を呼び、書籍になったり漫画化されたりしたのをご存知でしょうか?
書籍は2冊出ており、漫画は講談社発行の「モーニング」にも連載されています。他にもメディアにも取り上げられたり、コメンテーターで出演したり、「レンタルなんもしない人」では儲からないものの、それによって、違った形で利益が出てきているようです。
これは結果論かもしれませんが、自分の本質や本心と向き合い、受け入れたことで、自分の心に従って始めた「レンタルなんもしない人」でしたが、理解ある奥様の存在と、この時代だからこそマッチしたことなのかなと思います。これを狙ってやれたら凄いですが、例えば初めから「レンタルなんもしない人」で稼ごうと思ってたら、うまくは行かなかったんだと思います。利用者にしたら、基本交通費だけでいいので、格安で自分の目的を果たせる訳です。そして、なんもしなくていいんですから、まずクレームになることもなく、よっぽど変な相手でなければ、リスクはほとんどありません。
まさに、「存在するだけで価値がある」ということを体現できたことで、価値を感じる人が増えていったという訳ですね。SNSで繋がる時代、物や情報で溢れた時代、価値が多様化した時代の今、価値があるかわからないものを売るというのは簡単なことではありません。ネットでもよく「無料オファー」というものがありますが、アプリなど有料サービスでも、一週間無料期間があってから、課金されるシステムのものが多いです。あのドモホルンリンクルでさえ、昔から体験キットで試してからでないと、定期購買できないようになっています(笑)。
奇しくも、その「無料オファー」というシステムになっていたことが、価値と話題を生み、違う形で利益を生み出した訳ですが、「自分らしい働き方」や個人で仕事し始めるのであれば、「無料オファー」ありきで始めるのを見越した方がいいかもしれません。ただ、その為には家族などの大切な人の理解や、当面の生活費や資金が必要にはなりそうですが・・・。
少なくとも、こういった働き方もある、自分にあった仕事をすることができると言えるかもしれませんね。だって、なんもいなくてもお金になるんですから(笑)見誤ってはいけないのは、これが成功モデルではないといいうことです。誰でも「レンタルなんもしない人」をやればいいわけではなく、この人だったからうまくいき、本人が望んだことで、結果的にうまくいっていることなので、真似してもうまくは行かないでしょう。
ただ、何かを始めたい、自分に合った仕事をしたいと考えている方は、森本さんの書籍や漫画を読んでみると、何か参考になるかもしれませんね。自分が価値を見出だせなくても、誰かが価値を感じれば成り立ちます。だったら、自分に合って好きなことを突き詰めた方が、欲張って何かをやるより、よっぽど価値あるものを生み出せるかもしれませんね。