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拾った女の子は常識知らず‐なかなおり

「いったいどうしたものか…」僕はため息をついた。
最近、なぜかホノカの表情が悪い。
話そうとしても、いやな予感がして話せない。
前は急にくっついてきたのでびっくりして少し引いてしまった。
あの後どうなったのかはわからない。
「おーい」思い切りドアが開くと、マリナが入ってきた。
僕は慌てすぎて、転げてしまった。
「なんで屋上に来てるんだよ!」普通なら僕一人だった。
横にいるホノカはずっと寝たままだからだ。
今はいないのだが。
「それで、何に怒ってるの?」マリナに訊かれ、僕はきょとんとした。
別に怒っていることはない。「何の話?」彼女もきょとんとしたようだ。
「いや、怒ってるんじゃ…」僕は首を振った。
別にそういうわけじゃない。ただ、気まずいだけだ。
「お互いに誤解しあっているってわけか」彼女も難しい顔をしていた。
僕も事情が分かって、ため息をついた。
まさかそんな風に思われていたとは思わなかった。
「どうするの?」僕は頭を掻いた。
今急に真実を言われても、すぐに考え出せるわけではない。
「考えとくよ」僕はそう言ってその場を立ち去った。

私はヒカルを見送った。
彼は何をするのかはさっぱりわからない。
だけど、ほっておくのがい番の方法だと考え、その後は話題に出さなかった。
だが、彼はなかなか行動を起こさなかった。
何か考えがあったのかもしれないが、私は待ちきれなかった。
ある土曜日、私は彼の家に押し掛けた。
「お邪魔するね~!」彼は驚いていたが、お構いなしだ。
中に入ると、そこにはホノカがいなかった。
すると、彼は奥の部屋を指さした。
まるで私の考えていることが分かったかのようだった。
私は靴を脱ぎ、そろえると指さした部屋に行った。
そこにはホノカがいた。
彼女は口にメロンパンを加えてちょコリと座っていた。
彼女は私を見ると、一瞬びくりとして、飛びついてきた。
びっくりしたのは私のほうだった。
「それで、どうなったの?」わざとヒカルに聞こえるように、少し大きめな声で言った。
彼女は首をかしげたのだった。私はそれを見ると、待った靄びっくりとした。
「いや、喧嘩のことだよ」彼女は思い出した、というかのように天井に目を移した。
向こうからヒカルが来ると、ホノカは私から手を放し、彼のところへと駆け寄った。
「へ?」私は頭がこんがらかりすぎていったい何が何なのかがわからなかった。
「仲直りはもうとっくに終わってたよ」私は目を点にして訊いた。
「でも学校では…」ずっと話し当りくっついたりしていなかったのだ。
ずっと話し合っていなかったからだ。
「いや、それはある契約をしたんだ」彼は当たり前のように言った。
「け、契約?」私はさっぱり意味が分からなかった。
だが、彼らは普通に意味をか理解していたようだ。
「メロンパンを二日に一度だけ挙げる代わりに学校ではできるだけ接触を控えるってこと。変なことを思われたらいけないから」
私はため息をついた。やっと意味が分かったからだ。だが、それがあまりにも自然だったので騙されていた。
「そういうことね」私の肩から力が抜けたっと思う。
「ま、そういうこと」彼は普通にそう告げた。