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「…」忍差はベッドに横たわっていた。ゴロゴロと回っていたりすると、猫が家の中に入ってきた。
普通なら忍差を見て逃げ出していく。どの動物もそうだ。なぜか忍差を恐れ、逃げる。
だが、この子猫は違った。体中が黒色、尻尾はなぜか3つに分かれていた。「ニャー」その猫は彼女に近寄った。警戒する表情もない。ただ、銀色に光る眼が彼女を眺めているだけだ。
背中を撫でるとゴロゴロと背中を鳴らした。気持ちよさそうだ。彼女の顔も緩んだ。その猫は不思議だった。まるで普通の猫とは違う、何かを持っているかのように。
突然と猫は立ち上がり、駆け出した。「ニャー」その猫はついて来いというように窓まで駆け出していくと、彼女を眺めた。
彼女もわかったらしく、ついていくことにした。正解の判断だったかもしれないし、不正解の判断だったかもしれない。だが、彼女にはわからなかった。ただ、この猫を信じるしかなかった。
「いったいどこに行くの」だが、答えが返ってくるはずもない。相手は猫だ。だが、少しほかの猫とは違うところもある。一つは尻尾が3つあるということだが、もう一つある。
地形移動速度が普通の猫並ではないということだ。少しでも気を抜けば見失ってしまいそうなほどだ。彼女は必死になって追った。彼女が止まった場所は一つの岩だ。だが、普通の岩ではない。
まるで光が当たっていないかのような石だった。色がない石、あるいは黒よりも黒い黒色だ。「これは…」私は目を疑った。それを眺めていると首寄りしたが動かなくなる。恐怖だ。彼女は目をそらした。
「これはまるで…」この経験は昔に模した。ある男を見たとたんに体が動かなかった。隙だらけなのにどの攻撃も当たらない気がした。あの時と全く同じ恐怖だ。
命のない岩、隙だらけ。なのになぜか攻撃が当たらない気がした。攻撃をしても無意味な気がした。すると、猫が岩に飛び込んだ。「これは…」彼女は目を疑った。
猫が岩の中に消えていった。「これは…」私も手を入れてみると何かの空間が中にあった。どうやらこの岩は本当の物体じゃないようだ。厳格か何かだろう。だから攻撃も当たらないし、光もはじかなかったのだろう。本当には存在しない岩なのだから。
顔を中に入れてみると、大きな空間があった。そこには広場があり、いろいろな生き物が遊びまわっている。だが、少し厳格化と思ったのはその遊びまわっている生き物だ。普通の世界に存在するはずのない天狗やお化け、河童などがいた。
私は気が付くと足を滑らせ、不思議な世界に転げ込んでしまった。すると、前にはあの猫がいた。だが、その横には少年がいた。「彼女か」その少年は長袖長ズボン、髪はきっちりとしていて然りも小野田とすぐにわかる。メガネはかけていなかった。「そうか…」彼はしゃがんでいて、猫と話しているように見えた。「了解した」
彼は忍差を見た。「ここに無理やり連れてきてすまなかったね、少し話がしたくて連れてきた。そこまで時間はかからないので付き合っていただけるだろうか」彼は彼女を見た。
鋭い目だ。隙が一つも見当たらない。彼女はうなずいた。「すまないね」彼は少年と思えない話し方でもう一度誤った。