私+君‐彼は、消えた
私はこれが永遠に続いてほしかった
「あ!」君は急に声を出したので、私は驚いた。
君が見ている方角を見ると、そこは路地だった。
だが、どうしてか、魅力的だった。
その中には暗闇が漂っていた。
今気づいたのだが、私達は大通りのど真ん中にいた。
だが、周りには誰もいない。
ひとつ残らず店が閉まっていた。
まるで今日は誰一人人間がいないかのようだ。
だが、路地の中に見えたのは確実に目だった。
誰かはわからないが、目なのはまぐれもなく真実だった。
私は少し近づいてから見ようと思った。
だが、それを君は止めた。
「やめとけ。あいつからはいやな予感がする」私は君のお言った通りのことをした。
だが、どうしても足が動いてしまう。
まるで、呼ばれているような気がしたからだった。
おいで、おいで。というように、手招きされているかのようだった。
「おい!」君に呼ばれたが、もう私の体は従わなかった。
ゆっくりと前に進み始めた。
それを見て、二つの赤黒い目はにやりと笑ったように見えた。
止まって! だが、体は一切言うことを訊いてくれることはなかった。
ずっと前に進み、路地の中に入っていき始めた。
私が諦めかけた時、後ろから腕をつかまれた。
「!?」私がびっくりして後ろを振り返った。
そこには君がいると信じていた。
信じていた。
だが、そこにいたのは目を赤くした少女だった。
ちゃんと言えば目が赤い少女だ。
初めから目が赤かったようだ。
まるで悪魔のような目つきだった。
普通の少女なのに、目を見たとたんに見た目がころりと変わる。
「見つけた」彼女はめちゃくちゃ不気味な笑みを浮かべた。
まるで、私をずっと探していたかのようだった。
「だ…れ?」私は言える言葉を口に出した。
彼女はニヒッと笑った。
その笑みはとても不気味に見えた。
「知りたい?本当に?」彼女は楽しんでいるようだった。
だが、これは方法かもしれなかった。
何かを聞き出せるかもしれないと思ったからだ。
「ここはね…」ちょうどその時、向こうから誰かの声が聞こえてきた。
男性の声にも聞こえるが、女性の声にも聞こえる。
「何をしている」その声は優しくも聞こえたが、きつくも聞こえた。
「あ、ばれた。それじゃあまたね!」彼女がすたこらさっさと逃げていった後に私の体はいうことを訊いてき始めた。
いったい何が起こったのかはさっぱりわからなかったが、助かったということだけはわかった。
私が一番初めに、口に出したの言葉は勿論、「あの…」質問したかったが、そこにいた人に止められた。
「貴方が言いたいことはわかっています。彼なら私の店にいますよ」彼の顔はもやもやのような黒いもので隠されていて、声も聴きづらい。
だが、いっていることだけははっきりとわかる。身長は私の1.5倍ほど、きれいなスーツを着ていて、いかにもちゃんとした人、という感じだ。
その人について行くと、たどり着いたのはある店だった。
だが、そこには何もなかった。
真っ白な地面、真っ白な壁、真っ白な天井。
あったものとすれば真ん中にある机だけだった。
その上にはガラスの箱があった。だが、中には何もない。
「どこにいるんですか?」私はその人に訊いた。
その人は少し黙ってから答えた。
『彼は、消えた』