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「マネージャー!」私はまだ目を鬼にしてにらんでいた。
マネージャーはしょんぼりと座っていた。
私はまだ夢のことを怒っているのだった。
あの夢はとてもいい夢だった。
マネージャーが起こすまでの話だが。
「許さない!」私はそのまま振り返り、部屋を出ていった。
その日から、全くマネージャーを見なくなった。
全くではない。一切だ。
平凡な毎日に戻ったのだった。
「まさか、何かしたの?」咲良に訊かれ、私は一瞬びくりとした。
だが、答えは勿論こうだった。
「いや、」彼女は怪しむ目をしたが、何も言ってこなかった。
毎日が過ぎていった。
だが、何も起きない。
平凡な日々だった。
それが普通なら普通だろう。
だが、私のとっては違った。
私は多分、毎日何かが起きる人生を生きてきたからそれが普通になってしまったのだろう。
「暇だな…」私はひっそりとため息をついた。
誰にも見つかっていはいない。
ここはベランダでもない。
私がいるところは理科の準備室、短縮して理科準備室にいる。
「それなら何かを起こせ」後ろから誰かの声が聞こえてきた。
小さな声で、かすれるように聞こえたが、声は声だった。
後ろを見てみても、何一つ見当たらなかった。
ビーカー、スポイト、小人、保護メガネ…
「小人!?」目をこすってそこを見ると、やはり小人がいた。
緑の服を着て、とんがり帽子をかぶった手のひらほどの小さな小人だった。
「これって現実?」彼は頷いた。「ああ、運悪くこれは現実のようだ」
私は目を丸くした。「運悪くって…」彼はそれにこたえることはなかった。
「それより、暇なんだろ?それなら何かを自分で起こせばいい」小人はどうしてか知っている気がした。
よーく考えてみれば、思い出したことがあった。私達が冗談で作った七不思議のことだ。
その一つにあったのだ。「ってことは私が作り出したってこと?」私は小人を指さした。
そして、小人は頷いた。「ああ、なぜかはわからないが、理科室の中にいた。どうしてか出ることができない」
小人が頬を膨らますと、結構かわいかった。小人はそのまま降りると、スライドドアの方向に歩き始めた。
彼が出ようとすると、透明な壁のようなもので止められた。「、というわけだ」私は何となく意味が分かったと思う。
「とりあえず、これをできるのはお前だけだ。説明してからでもいい。やってみるか?」私は頷いた。
特にやることがなかったのもある。それはめちゃくちゃある。それが一番大きな理由だろう。
だが、違う理由があった。
それは、普通の日々が詰まらなかったからだ。
まあ、ということは暇だということなんだけど。
「まずは…」

訊き終わると、私は大きくうなずいた。これはとてもいいことになるだろうともうわかっていたからだ。
私は立ち上がると、理科準備室を出ていった。
とは一応閉めておいた。もしも誰かに見つかったら困るからだ。
「とりあえず、取り掛かるか…」私はいろいろなものを準備し始めた。
どうすればいいのかはもうわかっている。
私はにやりと笑った。「面白くなりそうだ…」
ある事が起こるとも知らずに、私はにやにやしていた。