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それは真っ黒だった。まるで宇宙んっじょようだ。それからはなぜか嫌な気配がした。「ッ…」僕は見ていられなくて、避けた。
「?」市川さんは僕を見た。「どうした…の?」彼女は僕を覗き込んできた。覗き込まれると黒いネックレスが見えた。「それを…見せないで」僕は目を隠した。
彼女は仕方なくしまった。「これは誰からもらった?」しまってくれたので僕は聞いた。「お父さんから…」また声が小さくなった。しかし、僕は質問攻めをしようとした。
「いつ?」「5年前、私が小学校に入る日に貰ったの…」
「お父さんは今どこ?」そう聞いた途端に彼女は黙ってしまった。「…」僕はどうした?と聞くと、ゆっくりまた話し始めた。「5年前…私がこれをもらった日に…し、死んだの…」彼女の目から1粒、2粒と涙が出てきていた。「そうなんだ…ごめん…その気持ち、分かるよ…」すると、彼女は起こった。「何で井辺名君に私の気持ちが分かるって言いきれるのよ!」その声は悲しみ紛れに吐き出したような、悲しい声だった。「実は僕のお父さんが…去年死んだんだ。僕は何一つ…できることがなかった。僕は…お父さんがいなくなってほしくなかった。だけど何もできなかったんだよ。僕はお父さんを殺したんだよ…僕はみっともない犯罪者だよ。僕なんて役立たずだよ。自分の愛する人一人も助けることができなかった。僕は…一回死のうかと思った。だから試したよ。首をナイフでさした。…」かのっよの顔は少し青くなった。「…でも死ぬことはできなかった。僕は不死身なんだよ。ただただ血が出るだけで痛みも感じなかった。ただただ地面に赤い血が…真っ赤な血がどろどろと落ちているだけだった…」僕の目からは無意識の涙が出ていた。「おかしいよね。ただ誰かが死んだから僕も死のうなんて思ったのは」「…」涙を流しながらも市川さんはうつむいていた。無口で。すると、そこへ聞いたことのある声が聞こえてきた。「そんなのおかしくないよ」僕は振り向いた。そこには古見がいた。「え…」
僕はすべて聞かれたのかと思って焦った。「井辺名が井辺名のお父さんを殺しいた?そんなわけないっしょ。死のうとした心は分かるよ。僕も自分の兄ちゃんが殺人に巻き込まれた。その原因は僕なんだよ。」僕はハッと顔を上げた。「僕があの時…お使いを頼んでいなかったら…僕が行っていたら…兄ちゃんは大丈夫だったかもしれない。僕は神に頼んだよ。兄ちゃんを助けてくれ、と。兄ちゃんを殺さないでくれ。僕から家族をとらないでくれ、ってね。でも神様はそんなこと耳1つ貸さなかった。それから1時間ほどで兄ちゃんは息を引き取ったよ。病院の人たちは1時間生きれたのがすごいといっていたから叫んでやったよ。『黙れクソババァ、クソジジィが、僕の心何かわかるか!』って。皆嫌な嫌な顔をしていたけど僕はそんなこと知ったことなかったよ。僕は死のうとした。井辺名と同じで首切ろうとしたし、首吊りやお風呂でおぼれるのも試そうとした。でもすべて神やろうに止められたよ。首切りはお母さんに見つかって首吊りはひもが切れて…おぼれるのもお父さんに止められた。僕は神様に嫌われてるんだよ。運が全くよくない。兄ちゃんを殺しといて僕が死のうとしたら止める、それってばかばかしくない?」僕は何も言うことができなかった。すると、市川さんが言った。「それは多分、お兄さんが命を懸けて守りたいんじゃないの?」僕たちは同時に言った。「え?」
市川さんは優しい目で古見を見た。「それは、お兄さんが神様に自分の命を使って古見さんの死をできるだけ長くしてと頼んだのだと私は思います」すると、古見が急に驚き始めた。「え?市川さんって話せたの?え?え?」どうやら古見さんが話しているところは聞いていないらしい。でも市川さんからしてはラッキーなことだろう。しかし、今はなしたのだからもう意味がない。「…」市川さんは目を伏せた。「はい…」古見は僕が超能力で落ち着かせた。「どうして言わなかった」突然に古見が真剣な顔でこっちを見てきた。「何を?」僕は彼女が考えていることは知っていたが、とぼけた。「とぼけんな、あんたが超能力者というのは昔から知っていた。でもどうして教えてくれなかったといってんの」僕は少し焦った。「いつ知ったの?」
1年前に知った。井辺名のお父さんが死んだ、あの現場で。

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📖上鍵です『|上鍵《じょうかぎ》と呼んで』小説家🛜lvl目標1000フォロワー・わがままだけど欲しい