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「あっしのことですか?あっしは抵抗するなら敵になります。しかし、抵抗しなければいい、短く言えばどっちいらでもありません」心海は柔らかな声で言った。「そうか」僕は少し警戒心を緩めた。感じる妖気からして攻撃してきそうには思わなかった。「それで、用事とは何だ」新説も警戒心を緩め、少し軽く話していた。しかし、いつものような話し方に戻っていなかった。「あなたたちにこの世界の昔を知ってもらいたい、府氏端に頼まれました」すると、近くで浮いていた市川さんが反応した。「府氏…端…」僕は彼女の脳を見ようとしたが、まだ見ることができなかった。しかし、5年が始まった日はなぜ見えたのかがまだ謎だ。
「知り合い?」古見が覗き込んだが、動けなかったので顔を覗き込むよいうかしゃがんだだけだった。市川さんの額には汗がにじみ出ていて、目には水が溜まっていた。「…」市川さんは何以下を言いたそうにしていたが、声に出ていないようだった。しかし、話そうと市川さんに超能力を使ったが、やはり折れ曲がってどこかに飛んで行ってしまった。「大丈夫?」古見はいつものように生き生きとしていた。「…」市川さんはまだ口をパクパクしただけで声が出なかった。何かにとても驚いて、悲しくて、嬉しくて声も出ない。そういう感じの状態だった。
多分心海は僕たちの方向を見ていた。何でも知っているような、何でもお見通しのような目で。僕たちは気づかなかったが、彼女は何かを口に出していた。呪文か、もしかしたら何か僕たちに教えてくれているのかもしれない。しかし、僕たちは市川さんの方に気が行って全く気づかなかった。
「ゎ…」市川さんが何か言おうとしたが、続きが詰まってしまった。「わ…お…す」小さな声で何かを言っていた。
そういえば市川さんって話すの、苦手だったっけ 僕は思い出した。どうしてか僕の前では話せていた。「?」古見は状況整理の脳が動いていなかった。全く分からずに、頭の中では「何だ?」「いまあどういう条項だ?」というのだけだった。全く意味が分かっていない。
僕はあきれていた。古見が今の条項を全くっ整理していないことが。新説は勿論だが状況整理音痴の僕でも今の状況で明るくしているのはダメだとわかる。しかし、古見はニコニコしているのだ。一瞬馬鹿だと思った。「それで、どうしますか?拒否したいのならどうぞ。拒否したいといってください。しかし、拒否しないのであれば歴史のことを教えます」すると、新説が答えた。「ここは拒否する…所だができそうにないな。とりあえず一見が言いたいことを言ったら見せてくれ」僕、古見と市川さんがびくりと驚いた。1つの言葉だ。「一見」という一言だった。今まで誰も一見とは呼ばなくて、市川さんと呼んでいたからだ。まあ機能の話だけど。新説も昨日はそう呼んでいた。これが本心なのか?
すると、市川さんがついに声を出した。とても小さな声だったが、聞こえるのは聞こえた。聞いた途端に僕たち3人(僕、古見と新説)は驚いた。どうやら僕だけじゃなくて新説の超能力も市川さんに効かないらしい。
私の…お父さんです。 「え?」

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📖上鍵です『|上鍵《じょうかぎ》と呼んで』小説家🛜lvl目標1000フォロワー・わがままだけど欲しい