シャドウキラー(39)
「これでどうだろうか、僕たちはまとめがけて順番に打つ、もしも真ん中に当たらなかったらゲームオーバーだ。これならスリルもあって楽しいだろう?」2人の真ん中には火花が散っていた。「やってやろうじゃないか」2人共自信満々で敵を見つめ合っていた。「それでは始める、構え、始め!」
まずはデリルガが狙いを定めた。打つともちろんあたった。ど真ん中に。
「なるほど」彼はそのまま中を的に向けた。「命中」彼は打つ前からわかっていた。ど真ん中に当たることが。そして打つとど真ん中にあたった。だが、それだけで2人は満足にならなかったのだろう。それからたまを何十子も使ったが、決着はつかなかった。そして一番すごかったことはすべてのたまが1つの場所を通り過ぎてずっとずれなかったことだ。周りにいた人たちは2人に釘付けされてた。
「なかなかやるな」2人はそれから30分ほど続けていた。だが、この勝負には決着がつかなかった。「それなら…」2人は武器を変えた。「これはエイムがむずいと言われている銃だ。これで当てることができるかな?」
デリルガは的を狙って打った。しかし、打つ前にほんの少しだけ斜めにずらした。
バン! 大きな音が聞こえ、銃が発泡した。その球はまたど真ん中にあたった。彼は球の傾きを予測して的に当たるよう、銃を反対方向に傾けたのだ。
「なるほど、人のカンというものはよく当たるものだ」彼も同じことをし、ど真ん中に当てた。
これも一生かかった。なので今度は中でなく、弓矢に変えた。「これならできるわけが…」周りの人はヒソヒソと話していた。だが、これも2人はど真ん中に命中させ、またもや一生かかることになってしまった。「なかなか決着というものはつかないものだ」2人は打つこと以外にまで行ってしまった。もう銃のゲームでなくなってしまったのだ。
数時間ほどかけて答えが決まった。やはりデリルガのほうが上だったのだ。体力的には。彼のほうが頭脳的には上だった。チェスをやると彼が勝つが、競争をやればデリルガが勝つ。決着は結局両方がかったことになってしまった。
「なかなかやるでないか」「そっちもな」2人はそのまま別れた。
デリルガは別れてから歩いていたが、立ち止まった。「とりあえず…メロンパンを食べるか」彼はパン屋まで突っ走っていった。一応脳みそはあるので普通の速さで行った。
「ンー、うまい」彼はメロンパンを食べながら町中を歩いていた。とその時、
ドンッ 誰かにぶつかってしまった。「すまん、少し前を見てなかったかもな」デリルガは全くの礼儀を知らなかった。「あ゙?それで住むとでも思ったのか?」デリルガの前には大男がいた。とても凶暴そうな何かしらのボスのような。
「いや、謝ればいいかなって思ったけどまあ違ったか」デリルガはそのままお取りすぎようとした。「おい、どこに行こうとしてんだよ!」デリルガの前に腕を置き、止めようとした。だが、大男はデリルガの力を知らない。デリルガの身体能力を。「どけ」デリルガはそう言いつつ普通に手めがけて歩いていった。大男は止めれると思い、ニヤリとした。
しかし、そこまで簡単には行かないのが人生だ。
デリルガは手を顔にぶつけながら進み続けた。まるで大男の手が存在しないかのように歩いていた。「な、何!」大男は力を込めて押し戻そうとした。だが、デリルガはほんの少しも下がらなかった。大男の手は軽々と押しのけられ、デリルガはそのまま前へ進んだ。
「ん?いまなにかに抑えられていたような気がするけど…気のせいか?」デリルガは本当に気がついていなかったのだ。