普通に生きたい僕であった(50)
「それじゃあ新たな星を作るというのはどうだろうか」バンダイルスが提案を挙げた。「なるほど、その方法があるな」
お父さんたちが勝手に話を進めていった。「そんなことができるの?」市川さんは首をかしげた。「ああ、できるさ。僕の力でね」
僕はため息をついた。「面倒だな…まあ仕方ないか。頼むよ、お父さん」「お父さん?」バンダイルスは目を細めた。どうやら彼が僕のお父さんということにまだ気が付いていなかったようだ。
「そのことをばらしたらいけないじゃないか」わざとなのかはわからないが、少し大きな声で言った。「お父さんが…神様!?」市川さんは突然の情報に対応しきれなくて倒れた。
僕がかけよると、目を回して耳から煙を出していた。頭が働きすぎたのだろう。そこまで大きな情報じゃないと思うが。しかも、前に話した気がしていた。「あらら、まあ仕方ないか。しかもちょうどいい。それじゃあ始めようか」
『新地作名戦場』彼が言い終わると、手が光りだした。『新地作始今』すると、僕には見えたが、小さな星が生まれた。少しずつ大きくなっていた。
「この星は時間がたてば自分が決めた大きさまで大きくなる。後は数分待つだけだ」少女は上にある星を細めで眺めたが、首をかしげた。「何も見えないけど?」僕はため息をついた。「そりゃそうでしょ。宇宙に作られてるんだから。授業で習わなかった?宇宙は地球から千キロ以上遠いって」彼女は首を振った。「そうだったんだ」
僕は心の中で思った。いったい彼女は教育を受けていたのか、あるいは今までの人生、体力を鍛えていたのかと。
「そろそろ終わったよ」お父さんはそのまま空に飛んでいき、バンダイルスもついていった。
僕は飛べたが、市川さんと少女が飛べない。市川さんは僕が担いだが、2人担ぐのは大変だ。一度市川さんをあの星においてから戻ろうかと飛んでいくと、人間的にはあり得ないことが起こった。
彼女がジャンプしたのだ。普通の人間がするジャンプじゃない。完全的に人間越えをしたジャンプ力だ。僕よりも早く空高く飛んで行った。
普通なら重力で引き戻されるが、彼女は違った。彼女のジャンプ力が強すぎて重力が引き戻す前に空高く飛んで行った。
その速さは僕が追いつけないほどだ。彼女は空気のない宇宙をおよそ自足1000kmで進み、一瞬で作られた星に突っ込んだ。
そこにはほんの小さな重力しかなかったため、空中を軽々と跳ねることができた。そこには空気もあったから市川さんは息ができた。
だが、お父さんは忠告した。「この戦いは一度20分で終わる。理由はわかるかな」僕は考えたが戻る理由がわからなかった。彼女も同じだ。
「答えは重力だ。別に地球と同じ重力にしてもいいが、このほうが楽しいだろうと思った。だがここにあまりいるとこっちになじみ、地球の重力で押しつぶされるかもしれない。だから念のために20分だ。彼女は問題ないだろう。体力がありすぎる。だが一見さんは大問題だ。ということで彼女のことは僕が責任をもって守ることにしてやっぱりいつまでもやっていいことにする」僕は図コリとこけた。
「二人とも準備はいいね?」僕たちはうなずいた。「それじゃあ、よーい」シュッと手を下すと空気抵抗が見えた。
「初め!」