僕は額に汗を流した。
なぜ焦らない 僕は奴の目をじろりと見た。奴はニヤリと笑い、一切焦りを表さなかった。「どうした、そっちが焦っているようにしか見えないが」奴はニヤリとしてこっちへゆっくりと歩いてきた。「シャドウイン!」僕は慌てて奴の影の中へと逃げ込んだ。「ほう、こんな事もできるのか」さっきも同じことをした気がしたが奴は自分の影を眺めてなにか考え込んでいた。「それなら影を消せばどうなる?」僕は心臓がドクリとなった。
やばい 僕の心にはその言葉が彷徨い込んできた。僕は今奴の影に入っている。しかし、奴の影が消えれば僕は強制的に追い出せる。それよりも前に逃げなければいけないのだ。
「それでは私は…」奴は風を起こし、ガーネさんに向けて打った。「ライトヲー…」彼女がそこまで言うとお父さんが止めた。「寄せ!その力をわせるのが奴の目的だ!お前が光を放てば奴の影が消え、追い出されるであろう!」ガーネさんは転がって避けた。しかし、その風は彼女がいた場所へ届く前に力尽きた。どうやら 攻撃する気がなかったらしい。「気づくか」その言葉だけでは少し悔しそうにしていてもおかしくないが、奴の顔を見れば嬉しそうにしていた。「殺す気はなかったが…殺す!」奴は屋根ごと吹き飛ばした。僕たちも。僕はさっと奴の影から出て違う場所に移った。
「これはやばいな…」僕はブラックアイでわかっていた、この建物全体が持ち上げられていることを。「フフフ、これを防げるかな?」急に下の方の地面から何かが抜かれる音がした。「まさか!?」僕は予想はしていたが、本当に起きることは完全に思っていなかった。奴は地面にあったすべての木を持ち上げたのだ。風の力で。手を振り落としただけでこの場に大量の気が降り注いできた。
「黒き光よ、吾友を守りたまえ」どこからか声がしてきた。と思うと、その場は真っ暗になった。
「ここは一体…」自分の体は中に浮いているとわかった。「ここはまさか…宇宙」僕は周りを見てわかった。太陽も地球も見えたからだ。しかし、いつもの見た目ではない。2つともボールのような円として見えた。
「この世で一番最強の場、宇宙へようこそ」遠くからは一人の少年が歩いてきた。一人しかいないのに、まるで何兆人もの人がそこに経っているかのような声だった。男の声なのか女の声なのかわからない、沢山の人が同じことを言っているかのような声だった。「ここは一体どこだ」僕は冷静になり聞いた。この場は僕の持っているブラックホールに似ているが、違った。息もできるから空気があることはわかる。ということは本物の宇宙でないことは確実だ。しかし、僕の持っているブラックホールの中には何一つない。ただの暗闇だ。しかしここにはたくさんの星が存在した。その星はそこら中にあり、いくら遠くを見ても続いているとわかる。
「ここは僕が作り出した宇宙、本物の宇宙ではないがそうであるという場所」僕が周りを見ると、遠くに他の人達がいた。ガーネさんはキョロキョロと周りを見回っていた。お父さんは冷静に考え込んでいる。しかし、奴はもう何が起こっているかを知っているかのような顔をしていた。まだ余裕の目だ。「お前が来るとはな、宇宙魔法の持ち主、ユーニ・バース」奴はユーニをじろりと見た。「何をしに来た、俺を邪魔しに来たというわけでもなさそうだが」
ユー二は無表情のまま前へ進んだ。「あそこを壊されては困ります」彼は僕たちの方を見てきた。
「決着をつけるのであればここで済ませてください」