私+君‐これでさようならなのかな
僕は目を閉じた。
どうにかなるだろう。
「ファ~」私は起きると、いつも通りの時間だった。
私は下に降りて、家を出る支度をした。
自分の住んでいた、都会に戻るためだ。
「準備はできた?」この体もこの家も本来なら別の人だったので、特に持つものはない。
あるとすれば水筒と食べ物だけだ。
「それじゃあ出発~!」お母さんはノリノリだった。
「お~…」私はきょとんとしながらも手を空中に振り上げた。
私達は歩き始めた。
初めはバスに乗って電車の近くまで行き、電車に乗り換えた。
「それで、向こうではどんな生活をしてたの?」ずっと話さないのが苦手なのか、私に話してきた。
「ン…と…」私はボーっと空中に目をやった。
特に話すことがなかったからだ。
「頼もしい幼馴染がいました」
彼女はそれを聞き、少し笑った。
「そう」私達の会話はそれで終わってしまい、少し気まずくなってししまった。
「ほかにもいろいろとありました。でも、学校が大変でした」私はため息をついた。
そして、ある一日だけ起こった出来事を話した。あの、忘れられない恐怖を。
「そう、それは大変だったわね」彼女は全く怪しまなかった。
これはファンタジーなどに出てきそうな出来事だ。普通、そんなことが起こるはずない。
本当に起こったのだが。
「怪しまないのですか?」彼女は首を振った。
「なんで怪しむ必要があるの?」私は少し考えて答えた。
「だって…普通は起こらないことですよ?」それを聞いて、彼女は吹き出した。
私は慌てた。何かおかしなことを言った覚えはなかったからだ。
「いや、ごめん。敬語を使うのって久しぶりに訊いたから。大丈夫だよ、敬語を使わなくても」私は心臓に悪いとため息をつき、普通に話し始めた。
「どうして驚かないの?怪しまないの?警戒しないの?」
お母さんは少し考えていた。「最後の二つ、同じ意味だと思うけど…」彼女は少し笑みを浮かべて私に振り向いた。
「だって私の子供だもん」私はその言葉を聞き、普通よりも驚いた。「で、でも私は…」お母さんは私を止めた。
「わかってる。本当のあなたじゃないって言いたいんでしょ?」私は頷いた。
彼女は空中に目を躍らせた。
「あなたはね…本当に似てるのよ、昔の彼女と」
それを聞き、私は何も言えなくなってしまった。
ただ単に気まずくなったのかもしれない。
「そう…なんだ…」私は勇逸告げることができた言葉を告げた。
「ま、体が私の子なんだから私の子でしょ」お母さんは暢気に言った。
私はうつむいたままだった。それを見て、お母さんはポカーンとした。
「ほらほら、そんなに落ち込まないの。だって…」ちょうどその時、電車が止まった。
「あ、ついたみたいよ」私はお母さんが何を言いかけたのか、分からず、次の電車に乗った。
大体3つ乗ればいいはずだ。
3つ目のでは私たちがいた近くに誰もいなかったのでとても隙隙だった。
なので、私たちは椅子に座って話していた。
「やっぱり話すのは楽しいわね」お母さんに言われ、私は本心から頷いた。
「そろそろつくわよ」そろそろというのは次だ。
私達はわかっていた。
もう、会うことはないだろうと。
『これで』
私は天井を眺めた。
『さようならなのかな』