オーシャン・シー❚アトランティスではなかった
「ねえ」僕はボーっとしていると、佐々木に呼ばれた。
僕は起き上がると、蚊の世のもとへと歩み寄った。
「どうした?」彼女は海の中を眺めて悲しい顔をしていた。
彼女が言いたいことは手に取れそうなほど分かった。
「うん、そうだね」僕は海の底を見た。
僕たちは手を合わせた。
この海で泳ぎ続けている人々に向かって。
もうその合わせた手を見ることのできない人々に向かって。
僕たちはそのまま少しの間目を閉じてじっとしていた。
「とりあえず見舞おうか」僕たちは頷きあい、ボートを走らせて一番近いまだだれもいない山を探しに行った。
そこまで大変なことではなかった。
「ここでいいか」僕たちは一つのヤマを見つけると、そこに穴を掘りだした。
それに意味は全くない。
そういったほうがいいだろう。
1つ穴を掘りあげると、その中に人を埋めた。
「よい来世を…」僕たちはその埋めた穴に向かって手をそろえた。
それから何度もそれをやっていると、疲れてきたので少し休むことにした。
今、僕たちの周りには息をしない者がたくさん地中の中にいる。
だが、その場所から感じ取れるのはあたたかな心だった。
これはどういう意味なのかもわからない。
どうしてこんなものを感じ取れるのかもわからない。
だが、その読み取れる感情は暖かかった。とても。
「…」僕たちは土まみれの手を地面に置いて空を眺めた。
風は涼しかった。
僕は立ち上がると、ボートに乗り、佐々木と一緒に戻っていった。
いつかは骨になるだろう。
いつかはまた見舞いに行こうと決めた。
「それじゃあ」戻ると、周りを見回った。
結構広くなったと思う。
順調に進んでいて、土地広げることに成功しているようだ。
僕には到底できなかったことだった。
「とりあえず何かをしてみるか」僕は特に意味なかったが、海の中に飛び込んだ。
海の中で何かが見つかるかもしれないと思ったからだ。
僕はそのまま戻り、地面に倒れた。特にいいものは見つからんかったからだ。
ふかふかな地面に寝転がると、ある物(?)が現れた。
眠気だ。その眠気は僕を一瞬で覆いかぶし、気が遠くなった。
一瞬で。
「ンンン…」僕は起き上がった。
そこは、久しぶりに見るベッドだった。
慌てて窓から外を見たが、そこは海の底ではなかった。
普通の世界だった。
この世界は海に沈んでおらず、人が見ちょを普通に歩いていた。
その景色を僕は信じることができなかった。
「ここはいったい…」僕は自分のほっぺたをひねってみた。
やはり夢だ。痛くもなんともない。
僕は慌てて階段を下りて、靴を履き、外に飛び出した。
服を着替えてから。
「やっぱり…」目の前には普通の町があった。
僕は佐々木の家に行った。
佐々木は目を覚ましたところらしく、パジャマの姿でいた。
「どうしたの?こんな早くに」それから数秒後には、目を丸くして慌てていた。
パジャマ姿で現れたからではない。
目の前に見えていた景色を見てだ。
「なんで戻ってるの!?」僕は知っている情報を言った。
本田のところにもいって、読んだ。彼も、もちろん驚いていたが、すぐに冷静になった。
街中は大騒ぎだった。人々はさっきまで町はアトランティスのように海の底へと沈んでいた。
だが、ここでは普通にあるのだ。海の中に沈まず。
「いったい何が起こってるんだ…?」僕たちにはさっぱりわからなかった。