拾った女の子は常識知らず‐意味の分からない夢
僕は天井を見ていた。
といっても体はまっすぐ前を向いている。
今は学校だ。席に座っている。なので、首をめちゃくちゃ曲げないと見えなかった。
首を曲げて無理やり天井を見ているのだ。
それはある理由がある。
目の前にはマリナがいた。
さっきから話すのをやめない。
「ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ」ずっと話しているが、僕は目をそらして訊こうとはしなかった。
だが、僕は勿論反応しない。別に反応しなくても少しすれば拗ねてどこかへ行くと分かっているからだ。
横でさっきからホノカが寝ている。子の横で起こっている騒ぎに全く気付いていないようだ。
「起こしたほうがいいのかな…」僕もため息をついた。
目の前で叫びまくっているマリナのことは耳を貸さなかった。
その理由は簡単だ。
もしも知らないのならば、教える必要がない。
しかも、教えたくないからだ。
このことは現実的に教えたくはない。
「ねえ!」彼女はため息をつき、自分の席へとすたすたと歩いていき、座った。
その日は、多分、めちゃくちゃ視線を感じたと思う。
少し居心地悪かったので、昼休みは屋上の角へといった。
そこには小さな倉庫がなぜかあり、フェンスと倉庫の間に隙間があった。
そこは僕にとってとてもいい隠れ場所だった。
そこにいると、眠りついてしまった。
気が付くと、落ちていた。
本当に落ちていたのだ。
だが、いくら地面が近くなっても、まだ遠くにあるように感じた。
そのまま落ちていると、どういうことかが分かった。
遠くを見てみると、少し見た目がずれていたのだ。
ポータルみたいなもので落としているのだということが分かった。
1つのポータルに入ればもう1つのポータルから現れる、ワープポータルみたいなものだろう。
僕はここから逃げ出す方法を考え出した。
といってもどうにかできるわけでもない。
動けないし、動けたとしてもここを抜け出すには時間がかかりすぎるだろう。
僕は上に手を伸ばしてみた。
だが、もちろん何も触ることはできない。
だが、それは横になっているからだった。
このポータルは2つの幅が小さいのだ。
なので、縦になって空に手を出してみると、何かを触ることができた。
そして、足にも何かを感じ取ることができた。
それは、自分の手だったのだ。
いったい何をしているのかはもうわからなかったが、面白くなって引っ張ってみた。
「あれ?」僕は引っ張ってみたが、引っ張ることができなかった。
なぜかというと、引く力が空気の抵抗で不可能になっていたからだ。
それから数分間、力を入れて引っ張っていたが、結局むりだった。
そのまま飛んでいると、急に下にあったはずのポータルが消えた。
そして、一瞬で地面に落ちたのだ。
さっきからずっと落ちていたので、結構な速度になっていた。
なので、たったの数秒で地面に直撃したのだ。
「お~い」僕が起きると、目の前にホノカがいた。
「大丈夫ですか?」起きた時にびくりとしたので、ホノカは驚いてしまったようだ。
僕は頷いて立ち上がった。
「なんでもないよ」そのことは、誰にも話そうとは思わなかった。
また秘密が増えてしまったのだ。