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『プルルる…』私は今、パジャマで布団に寝転がっている。
今は岸田先輩に電話している。先輩と土日にどこかへ行くことはできないかと聞くつもりだからだ。
先輩が電話に出ると、誰かの声が聞こえてきた。『…なんだよね…』女子の声に聞こえたと思う。
私はその声を聴くと、涙目になってしまった。「先輩…」私は口を閉じた。
『どうした?』先輩の声がスマホの中から聞こえてきた。
私はスマホに向かって思いっきり叫んだ。
「彼女がいるなんて聞いてませんー!」彼はそれを聞き、めちゃくちゃ驚いた声を思わず出していた。
「いや、彼女は星田先輩だって!」私はそれを聞き、目を丸くした。
「あ、そうだったんですか…」私はほっとしたが、電話の中から声が聞こえてきた。
「どうしたの?」確かに星田先輩の声だった。「あ、いや、彼女が…」
「わー!」私は彼の声を頑張ってかき消そうとした。
「星田先輩と僕が彼氏彼女だって言ってた」私は顔を真っ赤にしたまま聞いてしまっていた。
電話の中でいったい何が起こっているのはわからないが、予想はできる。
「フーン」先輩は多分私にとっての嫌なことを考えていると思う。
私は何も言うことができなかった。「なるほどね…」彼女の考えていたことがわからなかった。
だが、それは逆に嫌だった。
「何ですかー!」私はワーワーと彼女に向かって叫んだ。
結局次の日の朝に訊かないといけなくなってしまったのだった。

「あの…先輩…」私はおろおろと岸田先輩のもとへと寄った。
先輩はいつものようにマイペースでおいしそうに水筒の水を飲んでいた。
「ん?どうした?」彼は水筒のふたを閉めると肩にかけた。
私はもじもじしながら口を開いた。
「あの…先輩…」「それはもう聞いたって!」
私はやっと訊くことができた。
「今度の土日は暇ですか?」彼は考えてから頷いた。
私の顔はパッと明るくなった。
「それならどこかに出かけますか?」
彼は全く考えずに答えた。
「まあ別にいいけど、本当に僕なんかでいいの?」
私は迷わずに頷いた。彼以外に訊ける人がいないからだ。
「まあ、それなら土曜日でどうだ?」私はまた迷わずに頷いた。
「6時半?」私はまたもや迷わずに頷いてから振り返った。
「え!?6時半!?」ほとんどの店がまだ開いていないと思う。
私は少し考えた。いつも土日は朝の10時ぐらいまで寝ているからだ。
「いいですけど…ちゃんと起きられますか?」私は自分のことを隠したかったので聞いたが、彼は余裕というように頷いた。
「僕は毎朝5時に起きるから大丈夫だよ」私は彼の一言に腹をつりぬかれた。
「グ…」自分が情けなく思えてきてしまったからだ。
「わ、分かった…それじゃあ6時半に正門で待ち合わせね…」
私が今、一番不安に思っていることはたったの一つだった。
自分がちゃんと起きれるのかということだった。
まあ、いいか。 遅れたら大変なことだが、お母さんに起こしてもらおうと思った。
私はノリノリだった。

だが、それは金曜日までだった。
一応お母さんに頼んで5時半には起こしてもらうことにして、起こしてもらった。
だが、眠たいのだ。いつもなら10時ほどなので、眠気が頭から離れない。
なんでこんなに眠いの! 私はよろよろと待ち合わせの正門まで行った。
少し待つと、先輩が現れた。「あ、お待たせ!」

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