数分経つと、また歩き始めた。
私は不安になって来た。
いくら歩いても知っている町が続いていた。
私はとりあえず自分の家まで戻っていった。
君の部屋に入ったが、そこには誰もいなかった。
「やっぱりここじゃないの…」私はため息をついた。
君はいったいどこに行ったのかがわからなかった。
私には君を探すことができなかった。
こういう時に君ならどうするだろうか。
諦めるのだろうか。いや、探し続けるだろう。
「よし!」私は気合を入れて立ち上がった。
君と出会ってから、ひびが変わったから、こんなこともできると思う。
もしも今の私が昔の私だったらもうとっくに諦めていただろう。
だが、私は君と出会って変わったのだろと思う。
その時に、私はあるところを思い出した。
「学校だ!」まだ探していなかったところがあった。
私は学校に向かって走り始めた。
廊下を走り、階段をのぼり、3回の上、立ち入り禁止になっている屋上に上っていった。
いるとすればここだろう。
そして、そこにはいた。
「やっぱり来たか」そこにはあの少女が立っていた。
壁にあったはずのフェンスが消えていた。昔はなかったようだ。
私は彼女をにらんだ。彼女は私が考えていたことをまんまと当てた。
「大丈夫、君の彼氏には何もしてないよ。まあ、少し縛ったのは縛ったけどね…」
君はそこにじっとしていた。今の状況を判断して、動かないことにしておいたのだろう。
「君に会いたかったよ」彼女は私を見た。彼女の顔には笑みが浮かんでいた。
彼女が私に求めているものがわからない。だが、いやな予感しかしない。
「どうして」私は情報を得るために、訊き返した。
彼女は待ってました、というように答えた。
「だって」彼女は少し考えてから答えた。
その質問を待っていたが、答えを考えていなかったという感じだ。
「会いたかった…から?」彼女の言葉には意味不明だった。
だが、彼女の目はどんなことでもするという目だった。
今私に向かって拳銃を売ってくるのでもやりそうな瞳だ。
「1つ言いたいことがあったんだ」彼女は楽しそうに語っていた。
その言葉には一切に敵意がないように聞こえた。
だが、彼女からはいやな予感しか感じ取れなかった。
「私と一緒に行こうよ」彼女はにっこりと笑った。
だが、私は動かなかった。彼女について行かなかった。
「そっちを選ぶんだ」彼女の瞳にあった少しの光が消え、真っ黒な闇へと変化した。
その迫力は私にもわかるほどだ。
私は後ろに数歩下がった。
「一緒に一生生きようと思ったけど、無理みたいだね」彼女は私に向かって歩き始めた。
彼女の手にはナイフがあった。だが、普通のナイフには見えない。
青い炎が舞い上がっていて、メラメラと燃えていた。正真正銘、高熱のナイフだ。
触れられれば痛い。確実に燃えて死ぬだろう。
私は後ろに下がった。だが、さっきまで空いていた入り口のドアは閉まっていて、鍵がかかっていた。
「逃げられないよ」彼女は燃え上がっているナイフをなめた。
その姿はとても君が悪かった。
私はどうにかして逃げようと考えたい。
だが、何も思いつかない。
じゃあね。
彼女はナイフを振り上げた。
私は目を閉じる。
だが、なかなか振り下ろされなかった。
その代わりに、声だけが聞こえてきた。
「どけー!」知っている人の声だった。
その後に、彼女の悲鳴も聞こえてきた。
目を開けると、彼女が落ちる直線だった。
君はいつの間にか巻き付けられていたロープをほどいていた。
そして、彼女と一緒に落ちていった。
「!?」私は慌てて屋上から見下ろした。
下には二人が倒れていた。
動かない。
「…そ…ん…な…」私は跪いた。
「やはりこうなりましたか…」後ろから誰かの声がした。
だが、私が振り返るよりも前に私は宙に飛ばされた。
その時、視界に入ったのは顔がもやもやでおおわれている人だった。
さっき、私に地図をくれた人だった。
私はそのまま落ちていった。
鈍い音とともに、記憶が消えた。
「!?」私は起き上がった。
ここは…ベッドだ。体も戻っていた。