シャドウキラー(26)
「波というものを、知りたいか」その男は僕に言った。
「どういうこと?」僕はもう一度警戒しながら聞いた。
「波というものは誰も知らないもの、目を閉じていても周りの気配を感じ取ることができるもの」男はにやりと笑って手を出した。だが、僕は警戒したまま彼を見ていた。
「別にいらないならいい」彼が歩いて行こうとすると、僕が呼び止めた。「ちょっと待て、もう少しその波の話をしてくれ」そういうと、彼はにやりと笑って戻ってき、説明を始めた。
「波というものは何にもある、物、生き物、液体、気体、しかし、誰一人それを感じ取ることができない。トレーニングを誰一人していないからだ。だが、私は 5年かけてその力を習得した。とても大変だった。目を閉じたまま色々なものを周りに置き、そこにあると覚えてからジーッとみる。最初は何も感じ取ることができないが、1年たつと出きるようになる。言い方を変えると感じ取ることができるようになり、もしも目をなくしてしまったとしても周りを感じ取り、周りにだれがいるのかわかるようになった。しかし、ある問題があった。生き物はまだだった。動くから問題だった。それにはとても時間がかかった。街中に行き、ホームレスなどじっとしている人を使ってまずは人間だけできるようになった。だがそれには2年の人生をかけてしまったのだ。なのでそれから2年間、私は波の力を極めていた。そうすると5年間で波を覚えた。物、液体と人間だけだがそれでも役に立つ、それをお前ならすべてのものでできると思ったからだ」じっと来ていた僕はコクリとうなずいた。
「それじゃあやる。5年かけても10年かけてでもその波というものを覚えて見せる」僕は手に力を込めていった。
「よし、それでは成立だな」男の人は僕を肩に乗せると、ものすごい速さで屋根から屋根と乗り移った。ついたところはまるでダンジョンのような場所だった。
壁は石でできていて、少し薄暗かった。どこからか水の落ちる音が聞こえるっし、なぜかたくさんの人が起立していた。
「よくお帰りなさいました、その方はいったい誰でしょうか」1人がトコトコと歩いてきて彼に聞いていた。「ああこいつのことか?こいつは今からの教えっ子だ」普通は驚くはずだが、その人は全く驚かずに言った。
「よろしくお願いします」僕も男の人の背中に乗ったまま頭を下げた。
「とりあえず最初はこれにするか」彼は1人、指さした。「?」僕が頭をかしげていると、その人が僕にとびかかってきた。「マジか…」僕は意味が分かった。彼と戦えと言っているのだった。まずはどのぐらいできるのかというテストだろう。どうやら新人はいつもこれをされているらしい。あの時の彼が何も言わずに分かったのが理由でそう思った。
シュ 風を切る音がして手刀が飛んで来た。殺す気で来ているに違いない。なので、こっちも本気で行くしかなかった。彼が出した手刀の腕をつかみ、お腹にけりこんだ。
その人は飛び、僕は足から地面に落ちた。向こうも1回転してから地面に着地した。さすが強い、すごいとその時は思った。僕はもう一度攻撃にかかろうとすると、男の人が止めた。「決断した、お前は…」その場はしゅずまり帰っていた。
合格だ