僕+君‐君が戻ってきた
「何?目が赤い医者?」上司がそれを聞くと、目を丸くした。
「ばかげていますよね、そんな人ここにはいませんし…」だが、上司は首を振った。
「いいや、いたとも。だが、彼は匿名として働いてもらっていた。彼の実力は人間にとは思えない実力だった。君があと1万回人生を送っても追いつけないだろう。だが、数年前に手術ミスをして、自殺した。彼の使っている名は…アンデッドだ」
なぜ…奴のことをその小僧が知っているのだ。
あいつはこの病院でもトップの人しか知らない人物だ。
今まで発表したことはない。
昔からここで働いている人ならまだしも、普通の少年が知っているというのはおかしすぎる。
ただの思い違いだろうか。
そんなわけない。
「私が直接会おう」上司は立ち上がった。
「はい???」
僕は心の中に何一つ思っていなかった。
おもっていることがあるとすれば彼女のことだ。
「大丈夫だろうか…」僕はつぶやいた。
いったい誰につぶやいているのかはわからない。
だが、誰かが横にいるということだけはどうしてかわかる。
大丈夫さ。彼女は強い。
また声が聞こえてきた。いったいだれかがわからない。だが、どこかから、誰かから声がしてきた。
「どうしてそう言えるの」答えが返ってくるのかもわからないが、とにかく聞いた。
この誰かと話している間は心が落ち着く。
僕が保証するからだ。
その声は穏やかだった。
ちょうどそこへ、誰かが部屋に入ってきた。
「ちょっと失礼するよ」一人の男が現れた。
彼はゆっくりとを占めると、そこにあった椅子に座った。
「君に少し話を聞かせてほしい」その時から、声が聞こえなくなった。
僕は頷くと、その男に向いた。「なにでしょうか」彼はカードを渡してきた。
「私はこういうものでして…」それを見ると、ほんの少しいやな予感がして着始めた。
「君が見たという赤目の男性について聞きたいんだ。少し時間を取らせてもらっていいかな?」
僕は頷いた。君は起きる様子もないし、まあいいだろう。
「君が彼を見たというのは本当なんだね?」僕は頷いた。
「彼には何と言われた?」僕は彼に出来事を話した。
といってもほんの少しのことだ。
僕が君は大丈夫なのかと聞くと、彼が君次第だといっただけだ。
「なるほど、そうですか…ありがとう、それじゃあ失礼させてもらう」彼は立ち上がると、ドアを開けて出ていった。
そこにはまた一人になった。
僕は彼に伝えなかったことがある。
ここで起こった、君と僕だけだった時に出来事だ。
彼は、『彼女は大丈夫だ』といった。『彼女は強い』と。
そして、僕はその声を信じた。それがちゃんとした答えなのかはわからない。
だが、どうしても信じてしまうのだ。
「もう一度聞くけど、大丈夫なの?」だが、答えがない。
「ねえ」だが、もう答えは返ってこなかった。
その場はまた静かになった。
何度も言われた君次第という言葉、この誰なのかわからない人に言われた君は強いという言葉、それを言われても少し不安だった。
「…」僕はじっとしていった。
すると、君が少し声を出した。
「んんン…」僕はハッとして君を見た。
君はそこで起き上がっていた。意識がある。
『君が』
だが、どこか様子がおかしかった。
『戻ってきた』