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地球外知的生命体∤(1)
人生は最低だ。
僕はベッドに寝込んでいた。
やることもない。
なので、僕は起き上がり、前を見た。
僕の名前は名乗琉無だ。
身長は平均ほど、特に特異な特技もない。
夜は12時に寝て朝は8時に起きる毎日だ。
学校にも行っていない。
行く必要がない。
いかなくても怒る人がいないからだ。
親なんか知ったこっちゃない。
誰も僕の面倒は見ない。
見てもくれない。
僕は一人で生きると決めたのだ。
その心は変わらない。
たとえ何があったとしても。
僕は自分のために生きるのだ。
僕は自分で自分の心に鎖を刺したのだ。
ドーン‼
外から音が聞こえてくる。
だが、僕は外を見に行くことはしなかった。
いつものことだったからだ。ここら辺ではいろいろなことが起こっている。
どこかで車と車がぶ衝突したのだろう。
だが、今回はその音が大きすぎた。
しかも、そのあとからは悲鳴も聞こえてくる。
絶対に車の衝突ではないだろう。
外に出てみると、そこには確実にやばいものがあった。
空を見上げると、丸い渦があったのだ。
まるでゲームで見るポータルのようなものだ。
しかも、そこからは変な生き物が表れていたのだった。
その生き物は人間を拾い上げると、口の中に放り投げていた。
食べていたのだった。
俺は家の中に戻ると、靴を履き、外に出ると持っていた一番いい棒を拾い、駆け出して行った。
この棒はとがらせることができれば結構いいだろう。
しかも、必要な予感がしていたからだ。
「いったい何が…」だが、考えている暇などなかった。
僕は小道をとにかくポータルの反対方向へと走っていた。
ポケットに入れていたスマホを取り出すと、ニュースを見た。
だが、何もなかったのだ。電波がやられてしまったようだ。
「くそ!」僕は仕方なくそのまま走っていった。
もうこんなことになってしまっては法律などどうでもない。
自分の人生は自分で守るのだ。そう誓った。
山の中まで行こうかと考えたが、違う方向へ行くことにした。
林の中でもない。
町の中にとどまるのだった。
ここなら必要なものがそろっている。
生き残ることさえできればそのあとは楽だ。
もしも、生きることさえできればの話だが。
一つの家に入ると、そこはみすぼらしい場所だった。
家の中は赤く染まっていた。
どうやらここにもあの怪物が来たようだ。
鼻をつまみながら中を回ると、冷蔵庫があった。
だが、これから少しすると電機も通らなくなるだろう。
そのまま回っていると、遠くから何かの声が聞こえてきた。
声ではあるのだが、助けを呼ぶ声でもない。なく声でもない。
唸り声だった。
「!」僕は慌てて後ろに下がると、手に持っていた棒を振り落とした。
そこにいたなにかは低い唸り声をあげて、地面にばたりと倒れた。
どうやら人間も怪物になるようだ。
そして、僕はその時初めてのことをした。
だが、別に何とも思わなかったのだった。
怖いとも思わなかった。
この初めては初めから受け入れていたのかもしれない。
地面に倒れている女の人を見た。
まだ人生はあったのだろうに。
僕は人生で初めて、人を殺したのだった。
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