見出し画像

「本当にあいつ、狂ったんじゃないか?」瘋癲フウテンはめちゃくちゃ深くため息をついた。
そのころ俺はデカい木を育てていた。
「そうか?普通に見えるが」暗闇狼ダークウルフは首をかしげた。
「いや、そんな軽々と否定すんなよ!」だが、瘋癲フウテンは森の奥を見た。
そこには魔王でも住んでいるかのような木が立っていた。
大きさは確かに大きかった。その中に何万人の人を詰め込めるだろうと思ったほどだ。
だが、その木から流れ出てくる魔力がおかしかった。
前世で表せば、ずっと毒ガスを放っているかのようだ。
「魔王でも住み着くのか…?あ」それを聞き、ホノは拳を開いた手の上にポンと乗せた。
彼は何かを思い出したのか、口を閉ざした。
「どうしたんだ?」暗闇狼ダークウルフが気づいたのか、素早く訊いた。
瘋癲フウテンは答えたほうがいいのかと悩みつつ、口を開けた。
「あいつ、多分魔王だ」それを聞き、ホノと暗闇狼ダークウルフは驚いた。
死狼シルフでさえ、さっきまで寝ていたのにという言葉に飛び上がった。
「魔王が現れたのか!?」死狼シルフは周りを見て周りを見て魔王がいないのを確認すると、また寝ようとした。
だが、一度起きてしまったにはもう寝ることができなかった。なので、しょんぼりと会話に参加した。
「どういうことだ?」暗闇狼ダークウルフは少し動揺しながら訊いた。
「彼は言っていた」瘋癲フウテンは少し前のことを思い出していた。数日化、数週間前のことだ。
彼はその時訊いたことを告げた。
「なんか頭の中に誰かの声が聞こえてくるんだよね。女性の声に聞こえるんだけど…男性の声にも聞こえる。結構不思議な声なんだ。」
「彼はそういった。そして、それは多分公式的に魔王と認められたものでしか使えないはずの特性体質魔法だ」そういわれてしまっては否定などできなかった。
「いったいどうやってそうなったのかはわからない。だが、あそこから漏れ出ているのはため込んでいた魔力ではないのか、と思う。今まで捕食してきた魔物の魔力と自分が体の中で制御していた魔力が駄々洩れになっているんじゃないかと」それを聞き、ホノ、死狼シルフ暗闇狼ダークウルフはその場を立ち去った。
全員目的は同じだった。
そして、彼らが向かっているのは大きな木だった。
「グッ!」魔力の力で近づくことが困難だった。
ゲーム内で言うのならオーラだろう。
立った一匹のデカい木を作っているスライムの強さを示すオーラだった。
そして、それは偉大過ぎた。今までとてもためていたと分かるほどだった。
「おーい!」だが、その声は大きくなった木の中にいる俺には聞こえなかった。
まあ聞こえたのだが、言葉としては認識することができなかった。
「ん?なんだ?まあ、魔物とかだろうね。どうでもいいか」俺はそのまま木の中を掘り進んでいた。
「どこまで作れるかな~♪」楽しみという表情でどんどん捕食していった。
そろそろ起こりそうになっている大ごとを知らずに。

「マズい!」瘋癲フウテンが急に慌てだした。
「これでは魔物を生み出してしまう!」止めに行こうとしたが、もう素かった。
膨大な魔力がい瞬で消えて、村が陰に埋もれてしまった。
「そ、そんな…」真上を茫然と瘋癲フウテンは眺めてしまった。
「こんなやつを生み出してしまうとは…」

いいなと思ったら応援しよう!

📖上鍵です『|上鍵《じょうかぎ》と呼んで』小説家🛜lvl目標1000フォロワー・わがままだけど欲しい