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箱の上がズレた。「どうしてわかったんですか?」僕は箱を眺めながら聞いてみた。「簡単さ。これを作ったのはある人物なのだから」お父さんはまるで過去を見ているかのような目をしていた。
「昔に魔法を使えなかった男がいたのだ。彼は優しく自分が高い位にいることも気にせず皆を平等に接していた。なので皆からは神様のように親しまれていた。だがある日、彼は重い病気にかかってしまった。今は直すことができるが、そのころは直すことのできない病気だった。だから彼は最後に残った力を使ってこの箱を作ったのだ。自分が死んでから30年後に出てくるように。そしてここにその箱があるということだ」
お父さんは懐かしそうに箱を見ていた。「ということは彼はお父さんの親友だったということ?」彼は頷いた。「私よりと凄腕の人だった。リーダーシップもこの町一位だった。一度は王になることだってできたのだ。だが、彼は「私には王はふさわしくない」と言って拒否したらしい」とりあえずと思い、箱を開いてみた。その中には不思議なものが入っていた。への字に折れ曲がっていて、持ち手もある。引くのだと思われるレバーもついていて、その近くには小さな細長いものが置いてあった。「これはいったい…」今までで見たことがない道具だった。
「これは見たことがあります。…銃です」さっきまで静かにしていたサキノさんが口を開いた。「ジュウ?何だねそれは?」そんなものはこの世界に存在しないはずのものだった。
「これはこのように球を入れ…針金を引けば打てる武器です」彼女はやって見せた。すると、壁には穴が開き、そこから外がうっすらと見えた。「ということはその親友というのは…」僕は彼女を見た。「はい、私と同じところから来た、異世界人でしょう」彼女はその中を眺めながら頷いた。僕が言いたかったことは分かったらしい。
「そうだったのか…そうか…」お父さんは何かしらを考えてから立ち上がり、どこかに歩いて行った。「とりあえず僕たちはこれのレプリカを作ろうか」僕はそれをじっくり見てからできるだけ同じのレプリカを作った。しかし、同じにはならなかったので何回も作り直した。そして30分後、やっと同じものを作ることができた。「でもこれを戦争に使われるのは…」彼女の気持ちは分かる。戦争は誰でも避けたいだろう。と言っても僕が知っている人の中ではだが。
「いや、これは人を打つ豆に作ったわけじゃないよ」僕はまたそれを改造した。「これで…」僕はその銃で打ってみると、斧が出てきた。「よし、この中にブラックホールを仕込んでその中に斧を大量生産していおいてよかった」僕はその銃を木目掛けて打った。斧は木を突き抜け、奥の木に深く刺さった。前のきは大きな音を立てて倒れた。「よし!」僕は喜んだ。「これで材料集めが簡単になる」僕は無意識に心の中で考えていたことを口に出した。「でも自分の力で何でも作れると思うわよ?」その発言で一瞬だけイラっとした。「いや、だから他の人がっていう話だよ。僕が作るのは偽物、水を作ったとしても本当の水とは少し違う感覚。これもそうだ。見た目は似せていても触り心地は木にも鉄にも似ていないってこと」僕は銃をガーネさんに差し出した。ちょうどその時、客が来た。「サンキュー、あばよ」その銃を盗み、猛スピードで走っていった。
「スリだ!」僕は慌てて追いかけだした。

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📖上鍵です『|上鍵《じょうかぎ》と呼んで』小説家🛜lvl目標1000フォロワー・わがままだけど欲しい