普通に生きたい僕であった(22)
「お――い」古見が呼びかけて着た。
「どうだった?」古見は笑っていたが、少し暗かった。
「よかったよ。先生にずっとプリントをやらされただけだけど。そっちは?」すると、古見はしょんぼりとした。
「こっちもずっとプリントやらされてたよ…英語きらーいー!」「いや、お前、それじゃあいったい何が好きなんだ」そう聞くと、古見は自信満々の顔で答えた。「家で昼寝!」
「お前マジでドラえもんののび太に似てるな。」「ひどい!」まあそれが事実なのだが。「とりあえず教室戻るか。次の授業は…」‟国語です”僕は誰だと横を見ると、市川さんだった。
「もしかしてこれ全部覚えた!?」すると、彼女はコクリとうなずいた。それを聞いて古見はがくりと崩れた。‟た、立ってください…”市川さんは慌てていた。「しかしそこまでできるとはね」僕は感心した。
「毎日の授業をすべて覚えることができるし…」そこまで言うと、市川さんが僕の手を引き出した。「え?ちょっとー」古見はにこやかに見送ってくれたが、そういうのじゃダメ―!助けてー!
古見さんは誰もいないところまで聞いてきた。「どうしました?」僕は彼女の目つきでびくびくしていた。「井辺名くん…何者ですか…」僕はびくりとした。「な、何のこと?」僕はごまかそうとした。
「昨日からおかしいとは思っていました」僕は額に汗を流した。「な、何のことかわからないな…」僕は焦っていた。しかし、なぜか何も思いつかなかった。自分の超能力のことも。
僕は焦り焦った。「井辺名君、普通の人じゃない」僕はびくびくともっと焦った。「何言ってんの…僕は普通の人間だよ」しかし、彼女は静かに首を振った。「井辺名君は確かに普通の人です…」僕はほっとした。
だが…「というように考えてほしいのでしょう」僕は彼女の考えていることが何一つ分からなかった。 どういうことだ 一番最初に自力で覚えた超能力がまるで…折れ曲がっているようだ…
説明しよう。僕の超能力、テレパシー、透視、テレキネシスなど壁を通してでもできるのはどうやら線を飛ばしてそれが触れることができれば超能力が発動する。しかし、すべて目当ての場所より前に鏡や窓があれば光りが曲がってしまい、鏡なら完全に曲がり、ガラスなどの透明な少しでも反射して見えるものはその分反射して超能力が弱まる。なので、一応曲がった光を名前のつけていない気が付いたら身に着けていた超能力で違う場所から飛ばしている。
しかし、今前でもている光景は信じることのできないものだった。線が…彼女を避けている。彼女の5センチほど近くに行くと、曲がっていた。今まではこんなことがなかった。いったいどうやったら鏡もなしにこんなことが…
「私ね…」彼女はまた口を開けた。「これのおかげなの」彼女は首につるしていたあるものを見せてくれた。「え?」