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「そういえばあの男はどこに行ったんだ?」デリルガはボスを見て聞いた。「彼女のことか?」ボスは斜め下を見た。「え?彼女?」デリルガは耳から煙が出ていた。「彼女ならここにおるぞ」ボスは横にいた小さな女の子を少し前にずらした。「はー!?」デリルガの耳からはもっと煙が出てきた。「あの時は男だったということはまさか…」デリルガはハッと顔を上げた。「まさか男女にかわることができるのか!」
ボコリッ デリルガは333番と666番に頭を殴られた。「そんなわけないでしょ、彼女は変装していたのよ。しかもプロ並みに。あんな女の子ができるとは思えないけど声も性格、体格などをすべて誰一人気が付かないほど変えていたってこと」333番はデリルガのことを完全にあきれていた。「でも一体その技術をどこで身に着けたかは分からない。でも今までの人生をそれにかけてきたことは分かる」666番はさっきから彼女の首筋を眺めていた。「まさか胸を見ているわけじゃないでしょうね」普通なら「そんなわけないだろ」慌てたり起こったりする。しかし、どうやら666番は普通じゃないらしい。なぜかというと彼の答えは、「少し首筋を見せてくれないかな…」333番の言っていることを完全に無視していた。まるで聞こえてもないかもしれないほどだ。
「はい」彼女は一瞬おどおどとしたが、髪をよけて首を見せた。「3847…この数字はいったい何を意味しているのだろうか…」そこへボスが口をはさんだ。「これはある施設で取り扱っている者の名前だ」「名前?」ボスはコクリとうなずいた。「私の首筋にも少しは残っている。私は1番だった。あの頃からいったい何人作ったというのだ…」ボスの首筋にはほぼ消えかけていたが1と書いてあった。
「ということは…」彼女は目を丸くした。「あなたは私の先先輩ということですか?」彼女は片膝を地面についた。「どんな事でもなんなりとご命令ください」彼女は突然真剣な顔になった。
「顔を上げよ」ボスはまるで台本を読んでいるかのようにすらすらと言った。まるでこのことを知っているかのように。「ハッ」彼女はボスを向いた。「そなたは一体なぜ逃げようと思ったのだ」周りの空気は突然重くなった。「ハ、あそこが気に入らなかったからです」彼女の目は誰か上の位にいる人を見ている目だった。笑みは一切なく、とても真剣そうだった。「なぜ気に入らなかった」「あそこでは自由がない、皆が毎日毎日特訓し、ご飯はろくに食えず、あそこはうんざりしたからです」「そうか、それならなぜ私についてこようと考えた」「あなたが一番いい、カンがそう言っているからです」2人のセリフはまるで台本を丸読みしているかのようだった。
「そうか、それならよろしい。ジ、エンド」ボスがそういうと、彼女は立ち上がった。「今のはいったい…」333番と666番はポカーンと見ていた。「今のは――」彼女が説明しようとしたとき、ボスが口をふさいだ。「これは言うことのできないことだ」2人は気になったが、聞くことはよした。ここまで否定するのは何かの理由があるのだろう。
「それで、彼女はいったいどうするのですか?」666番はボスを見た。「彼女はシャドウキラーに入れる」「それならテストを――」「必要ない。彼女は…」ボスは3人を見た。
デリルガ、333番、666番が3人合わせて戦っても勝てないのだから。

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📖上鍵です『|上鍵《じょうかぎ》と呼んで』小説家🛜lvl @コメント/返信99.9%