私+君‐誘拐犯の親切心
「これって大丈夫なの?」私は彼の誘拐能力が心配になって来た。
とりあえずじっとしておくことにした。
逃げ出してもいいのだが、少し暇だったからだ。
私はいつでも逃げれるように、ひもを緩めておいた。
そのまま少しの間待っていると、彼は帰ってきた。
そして、スマホを渡してきた。
Wi-Fiはないが、本当に不安になって来た。
なぜかというと、ここら辺にはフリーWi-Fiが存在するからだ。
人々は時々ここにきてWi-Fiを使ったりしている。
だが、そのことを考えていたのだろう。
電話がブロックされていた。
しかし、緊急電話はどのスマホでも使える。
だが、電話する必要もなかった。
なぜかというと、ちょうどそこへ君が現れたからだ。
君は手にスマホを持っていた。
どうしてここに来たのかはすぐに想像がつく。
君は私を見ると、私は君を見た。
君はポカーンと私を見てきた。
ここに来るとは思っていなかった私は目を点にして少し驚いた。
「「まさか…」」かぶって、気まずい空間になってしまった。
横で立っていた。誘拐犯は慌てて武器を取り出そうとした。
だが、その武器はどこかに置いてきたらしく、どこを探してもなかった。
私は結局そこから出ていくことにした。
別にあそこにいてもいなくても、彼の誘拐は失敗するからだ。
私はポケットになぜか入っていた千円札を残していった。
まあ、エンターテインメントにはなったからだ。唱の支払いとして出しといた。
「というかなんだったんだ?」君に訊かれ、私は目をそらした。
ここはどうにかごまかすのが一番だろうと思った。
「というかあそこのWi-Fiを使ってたとはね」言い返すと、君は目をそらした。
「そ、それは…」君は目をそらしてから、ブツブツと何かを言っていた。
だが、その声は小さすぎて何を言っているのかがわからなかった。
「なんて?」気になったので訊いてみると、彼は慌てて私の口を閉じさせた。
あまりにも突然のことだったので。私は後ろに飛びのいた。
私が口をパクパクと動かしていると、君は吹き出して笑いだした。
「フグみたい!」私は言い返そうとしたが、言い返す言葉が思いつかなかった。
君は笑い終えると、今度は私に訊いてきた。
「明日は何の日か覚えてない?」「?」明日は誕生日でもないし、勿論クリスマスでもない。
まだ学校の真っ最中なので新学期とかではない。
そのままずっと考えていたが、なかなか思い出せなかった。
しかも、目の前でずっと見てくる君の目が視界気になって考えることにも集中でき餡かった。
「やっぱり思い出せないな…」いったい何が起こるのかも考えだせなかった。
彼は悲しいようなほっとしたような表情をした。
「まあ、そのことはいいとして…」ちょうどその時、私はあることを思い出した。
ついさっきあの誘拐犯に渡した千円札はどうして持っていたのかを思い出したのだ。
そして、その理由は結構やばいことだった。
買い物だ。
連れていくついでにと、お母さんに買い物を頼まれていたのだった。
多分、手ぶらで家に帰ったら怒られるだろう。
私は焦っていると、殺気の誘拐犯が走ってきた。
「おい、これ、落としたぞ」なんと、誘拐犯が千円札を返してきたのだ。
普通なら取っていくのかと思っていたのだが。
私は心を入れ替えた。
「ううん、大丈夫」私はそのまま家に帰った。
だが、その後いいことは起こらなかった。そのことを考えておいたほうがよかったのかもしれない。