ブラインド∹分厚い資料
「ブヘー」私は窓にもたれかかった。
昨日は親に、ひどい目にあわされた。
あれからまともに話せたのが30分も後だったからだ。
結局岸田先輩は帰っていったけど。
すると、横に誰かが現れた。
「どうしたの?おっかない顔して」
私はその方向に振り向いた。
「先輩!」私が頭に浮かべたのは岸田先輩だった。
「そう、優しい部長の星田先輩だよ~」そこにいたのは岸田先輩ではなく、星田先輩だった。
私は少しため息をついた。「ど、どうしたの!?」星田先輩は戸惑いを見せた。
「あ~あ、後輩を泣かしてるっす~」他の先輩がにやりとしてつぶやいた。
「何だって?」彼女の目が吊り上がった。
「いや、何でもないっすよ…」彼はさっきまでしていたことを待たし始めた。
それを見て、私は吹き出してしまった。
「どうした?」先輩はさっきのような怖い顔をしていなかった。
「卑怯だー!女の子には優しくして、俺らには冷たくして!」彼らはそれから10分ほどわがままを言い合っていた。
それを見て、私はずっと笑いを懲らしめていた。
その騒ぎはひところだけで終わった。
「黙れ」低くて普通なら聞こえないような声だった。
だが、その一言が十分だった。
その場は完全に静まり返った。
今は演劇部にいる。といってもほとんどの時は話しているだけだ。
声を上げたのは個々の部員だ。副部長でもない。
だが、彼の一言一言は私たちに強く当たる。
彼は一つの束を持ち上げた。「見つけた」
その一言だけで、その場は盛り上がった。
どういう意味かは後で聞かされた。
私達が劇をもらったということだ。
これは時々起こることだった。
時期は一切決まっていない。
だが、時々渡されるものだった。
いったいどうやって来るのかは教えてもらえなかったが、とりあえずうれしいことだった。
これで暇せずにいられるのだから。
「とりあえず、取り掛かるぞ」私達は動き始めた。
その中で、私だけは戸惑っていた。
いったい何をしたらいいのかを言われていないからだ。
入部するときも見て回れと言われただけで、説明とか全くなかった。
「何をしたらいいですか?」私は立ち上がって訊いた。
星田先輩は考えてからとりあえず見学してて、といわれた。
だが、今回はちゃんとしたかった。
「だめです。ちゃんと部員ですから、何かを刺してください」私の推しに負けてくれたのか、彼女は薄いため息をついて、一つの分厚い資料を渡してきた。
中を見てみると、そこには劇の内容が書かれてあった。だが、それには私が目を丸くすることがあった。
めちゃくちゃ細かく書いてあったのだ。
腕をどう動かすが、一言一言どのように言うのか、どの位置に立って目をどのように動かすのかまでも書かれていた。
あまりにも細かすぎたのだった。私には到底難しそうだった。
「これを見てわかったでしょ、とりあえず今回は見てて」私はしょんぼりとして頷いた。
彼女はそれを見て、小さな笑みを浮かべた。「まあ、また今度は体験ということで試してみたら?」
私は顔を上げて目を輝かせた。それはいい提案だと思ったからだ。私は思いっきり頭を縦に振った。
「はい、よろしくお願いします!」
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