無名小説スライム編(11)
「私を捕食して」俺は音波を発せなかった。「どういうことだ」俺は音を低めた。「私は呪われたの」彼女は悲しそうに彼女の手を見た。「それは少し無理だ。まともな理由がいる」
俺は少し考えてからもう一度音を発した。「少しの間は同行してもらいたい。もしも危険だと思えば捕食する。しかし不危険だと思えば捕食しない。これでどうだろうか」
その時彼女が考えたことは予想できた。「危険なことをしよう」だが、俺はそんな簡単にされれは困るので止めた。「しかしわざとするのは禁止だ」これだけは守ってほしかった。
彼女の反応を見るとそう思っていたのだと分かる。「どうだろうか」俺は彼女の回答を待った。「わかった」彼女はそういうと、黒い火の塊に包まれた。
やばいと思ったが、火はすぐに消えた。その中からは1匹の狐が出てきた。体中が黒く、目は真っ赤、尻尾の先も赤く染まっていた。「私は獣人なの。狐の獣人」彼女は水辺まで歩いて行った。
「普通なら白い狐。でも私は黒煙の精霊を取り込んだから黒い狐になっているの」すると、どこからか凶暴な気配がした。「!」それはさっきまでおとなしかった暗闇狼たちだった。彼女を見たとたんによだれをたらし、彼女に近寄り始めた。
ーこの体制は…狩りの大勢!なんで!? 『はい、これは暗闇狼の本能です。空腹になりすぎると本能が働き、周辺にいる食料を何でも食べるようになります』俺はあたまをまわした。
ーいったいどうしたら止めることができるんだ! 『一つだけ方法があります』俺は方法を聞きながら実行した。
「お前たち!」俺は持っていたすべての鼠を取り出した。「食いたいのならこいつを食べろ!」鼠をばらまくと、鼠めがけてとびかかった。まだ胃の中には鼠が数十ほど残っている。念のためにだ。何が起きるかわからない。これも神の考えなのだが。
少しすると暗闇狼たちは正気に戻った。「すみませんでした!」正気に戻った暗闇狼たちは深く頭を下げた。「いいんだよ、本能には勝つことができないからね」彼女も同じ考えだったようだ。「ありがとうございます」もう一度頭を下げられた。「いいよいいよ、彼女が気にしていないのなら」俺はホノを見た。「大丈夫」彼女は一言で終わらせた。
だが、彼女の顔には何か悲しみが浮き上がっていた。
ー本当に大丈夫なのだろうか… だが、聞く気にはなれなかった。
「俺は町に行こうと思う。ついてくるか?」彼女はうなずいた。俺は彼女を載せてくれる暗闇狼がいないか聞くと、一人が前に歩み出た。ここの中では大きめ、片目は傷跡が残っていてボスといってもおかしくないだろう。だが、ボスはさっきまで俺が乗っていた暗闇狼なので違うとはわかる。
進んでいくと、大きな熊が立ちふさがった。捕食することはできるが、それよりも前にホノが真っ二つに切った。「つ、強い…」今まで何もせずに生きていない強さだ。まるで毎日訓練をしてきたかのような。
俺は一瞬固まった。ほんの一瞬だけ、彼女から邪悪な気配がしたからだ。ほかの暗闇狼たちも同じだった。いったい何が起こったのかと周りを見渡していた。これは魔物にしかわからない気配なのだろう。俺たちはとりあえずそのことを忘れ、突き進んだ。何かが起きればその時はその時だ。今は突き進むことに集中しようと思っていた。
思っていた。