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私+君‐これ…どうやったら帰れるのかな…

君が戻ってきた。
だが、どこか様子がおかしかった。
「んン…」君は起き上がると、僕のほうを見てきた。
初めはうれしかった。植物状態から生き返ったのだから。
だが、おかしかったのだった。
「誰?」
君は僕に訊いてきた。
「ぇ?」僕はそこで固まった。
「今…なんて…?」
君は首をかしげた。
「ここは…どこ?」
僕は耳を疑った。
君は周りを見ると、自分の手を見ていた。
「何が…起こったの?」前と性格が変わった気がした。
確かに前も静かな感じだったが、ここまで感情がないはずはなかった。
感情を完全になくした少女のようだった。
「さっきまでは…」まるで、君は違う人と入れ替わったかのようだった。
「まさか…」僕は一瞬考えてしまった。
とりあえずその考えがあっているのかを確かめたかったので、僕は質問した。
「君は誰?」君は僕が知っている名前とは違う名前を出してきた。
やっぱりだ。こっちの可能性は高いだろう。
前に読んだ本の中で見たことがある。
その内容にはこう書いてあった。
『解離性同一性障害(解離性同一症)とは、強いストレスやトラウマなどから自分を守ろうとした結果、一人の中に2つ以上の別人格が入れ替わり表れるようになり、自己同一性(自分はこういう存在であるという感覚)が損なわれてしまう精神疾患です。』
それが本当なら、やはりそうだ。
君は記憶喪失になったのではない。
君の中に2つ以上の別人格が入れ替わったのだった。
解離性同一性障害が起こってしまったのだ。
「…」君は空を眺めたままボーっとしてしまった。
だが、今起こったのは解離性同一性障害じゃない。
普通は起こるはずのないことが起こったのだった。
誰にもわからないことが。

「んン…」私は起き上がると、知らないところにいたのだった。
どこかの病院だろうが、窓から見える風景は都会に見えなかった。
山に囲まれていて、まるで…田舎だった。
「起きたぞ!」向こうで少年の声が聞こえてきた。
少しすると、数人の少年少女が現れた。
「大丈夫だった?心配したよ?」一人の少女が言ってきた。
全員明るそうだが、やはり都会で見る服装ではなかった。
普通に下着でいたからだ。しかも、まだ小学3年ほどに見えた。
その時気付いたのだが、外がとても暑かった。
40度を超えているかもしれない。
自分の服装を見てみると、長袖長ズボンだった。
だが、そこまで汗をかかなかった。この体はどうやら熱さに耐えれるらしい。
「どこか違わないか?」一人の少年が言った。
他の人たちは私をジーッと見て考えていた。
「そうかな?そこまで違わないと思うけど」
だが、あまりにも見られていたので、少し顔が赤くなった。
「違うね」「違うな」「うん」「同意」
私はどうしてここにいるのかわからない。
「あなた、誰?」一人が効いてきた。
私も同じことを聞きたいほどだ。ここはどこ?どうして私はここにいるの?、と。
だが、訊くのは諦めた。
「私は…」私が説明し終わると、彼女たちは少し考えていた。
普通に小学3年生ほどとは思わない。
「そういうこともあるんだね~」一人の一番どんよりとしてそうな人がのんびりと考えていた。
私はため息をついた。
『これ…』
これからどうしよう…
『どうやったら帰れるのかな…』

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📖上鍵です『|上鍵《じょうかぎ》と呼んで』小説家🛜lvl @コメント/返信99.9%