私+君‐それなら私はどうして覚えてないの…?
私はわからなかった
だが、君の言っているのとが全く理解できなかった。
「どういうこと?」私はもう一訊いた。
君はそのまま沈黙のままだった。
「本当に…いないのか…」君が何かを言った気がしたが、私には聞き取れなかった。
「いや、何でもない。とりあえず帰ろうか」私達はそのまま家に帰っていった。
「そういえば横にいた女の子は誰?」
「彼女は…いや、何でもない。ただの他人だよ」
君の顔にはどこか悲しい表情があったが、その理由を聞く勇気が私にはなかった。
「ただいま」私は家に帰るとお母さんたちが現れた。
「あら、お帰り。お泊り会はどうだった?」私はきょとんとした。
今まで寝込んでいたと思うのに、いったいどうしてお泊り会をしたということになっているのかがわからなかった。
「誰の家で?」私は思わず聞いた。
すると、お母さんは困った顔で答えた。
「あら、忘れたの?彼の家よ」お母さんは横を指さした。
どうやら私は君の家でお泊り会をしていることになっていたらしい。
「えー!?」予想外の展開だったので私は大きな声を出してしまった。
その後に起こったことは想像に任せておこう。
「はーッ…」私はベッドに寝転がると深いため息をついた。
私が君の家に泊まるというのが本当なら天国のようなことだった。
私は窓に行くと、反対側を見た。
そこには机に向かった君がいた。
片手になってもまだ勉強をしていた。
やっぱりそれが君らしかった。
君は私に気づくとこっちに歩いてきた。
「ハロー」君はにっこりとしてきた。
私も手を振った。
私は少し戸惑いながら聞いてみた。
「あの…私って泊ってました?」君は一瞬動揺していた。
「あー、その話ね…」君はササッと走って行って、何事もなかったかのように机に向かった。
どうやらこの話は少ししたくないようだ。
私は君の焦る姿を見て薄く笑みを浮かべた。
というかなんで覚えてないのかな… 病院で言われたことを思い出した。
ということは、私が完全に覚えていないことがあるということだ。
いったいどうして忘れたのかもわからない。
「…」私は青い空を見た。
どうしてかはわからないが、私は言ったことがある気がした。
空に広がる、黒い宇宙に。
「なんでかな…」いくら考えても思い出せなかった。
私はとりあえずもう一度君に声をかけた。
「ねえ」君は振り返った。
めちゃくちゃかくかくしていたけど。
「どうしたの?」君はロボットのように訊いてきた。
少し聞きづらくなったが、私は勇気を振り絞って訊いた。
「私は、その…何をしていたの?」君はその質問に答えようかと戸惑っていた。
だが、少しすると、答えた。
「本当に覚えてないんだよね」私は勿論、と頷いた。
「そこまではわからないよ。君は入れ替わってたからね」私は目を丸くした。
「どういうこと?」私は素早く訊いた。そんなことがありあえるのだろうか。
「病院にいた時、君の横にいたこのこと覚えてる?」私は頷いた。
彼女はベッドに寝ていた。「君は彼女と入れ替わっていたんだ」
少し信じられなかったが、君の言うことだ。多分あっていたのだろう。
『それなら私は』
そんなことが起こったんだ…
『どうして覚えてないの…?』