シャドウキラー(32)
「望み…」彼は止まった。「望み…」彼は繰り返した。「いったい何なのだろうか」彼は自分の望みもわかっていなかった。「それならこれから何をするのかは分かっているのか?」ボスは彼を見た。「それは…親を殺す…」彼は近くにいるボスにもギリギリ聞こえるほどの声でつぶやいた。「まだ殺そうとするのかい!」ボスはひっくり返った。「他することなどない」彼は再び前に進もうとした。「待て」ボスは彼の肩をつかんだ。「?」彼が後ろを見た。「お前、今からすることは私が許さないものだ。死んでもお前を追うことになるぞ」彼の目は光っていた。ボスの目は黒く光っていた。「…」彼はまた止まり、黙り込んだ。「もう一度聞く、お前の望みは何だ?親を殺すことか?それとも敵を討ちたいだけか?」
そこまで聞くと、突然男の帽子が落ちた。そして顔が崩れ落ちた。
「きりがない人ね」その中からは女の子が出てきた。「でもまあよくこんな人を説得したね」彼女は誰一人気が付かなかった変装をしていたのだ。「お前は一体…」ボスは下がった。「まあまあ、私は普通の女子よ」彼女は手を一振りしただけで体が崩れた。その中からは小さな体が出てきた。「なたと同じ所で育った、ね」「同じ場所というのはまさか…」ボスは分かった。彼女は自分とは同じ場所で人生を歩んできたのだと。「いったいどうやって出たんだ」ボスは分からなかった。彼女はボスが出た時の都市よりもはるかに推さなかった。しかし、出れたというのは少しおかしく思える話だ。
「ヒッカ兄さんが助けてくれたのよ」彼女はどこか遠くを眺めた。「ヒッカ人さんとはだれのことだ?」僕はその少女に興味を持った。「日野潟(ひのかた)兄さんのことです」聞いたことないが、そこで働いている可能性はあると予想した。
「でもどうしてそんなことを知る必要があるの?別に関係ないと思うけど」彼女は全くの遠慮無くボスの方に近寄り、ボスを見上げた。「私のプランに使えると思ったからだ」ボスは真剣に言ったが、彼女はまるでコイバナでもしているかのような顔をした。「そうなんだー♪」彼女は全くこのことを怪しく思わなかった。怪しくはないのだが。ここまで訓練をしていても彼女は疑うということをまだ習っていなかった。
「それで、これからどこに行くの?」彼女は一瞬でボスの横に行った。しかし、ボスから見たら普通に歩いてきたかのような速さだ。「これから帰る。お前も変える所はあるだろう」ボスは歩いて行こうとした。「待って!」今度は彼女がボスを止めた。「何だ」ボスは後ろも向かずに聞き返した。「そのー…私、実は…」彼女はうじうじしてなかなか言葉を口に出さなかった。ボスはいらいらして後ろを向いた。「言いたいことがあるのなら早く言え―!」「私は帰るところがありません!」彼女は本能的に発した。「それなら私の所に来るか?お前がいいというのならばの話だ――」ボスが話し終わる前に彼女はコクリとうなずいた。「お願いします!」彼女はそれから、ボスになついてしまった。それを見て666番は気に食わなかった。