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「…」僕の心はやまなかった。
この数日間はマリナと話していなかった。
そんなこと、どうでもいい。仲間割れをしたのだから。
これから数日間はマリナと話さないことにしておいた。
「まあ、あいつマリナが誤りに来るなら許してやってもいいんだけどね。そうそう、あいつマリナが誤りに来ればね…」
僕はポカーンと空中を眺めていた。
僕はパパっと食べ終わったが、ホノカはおやつのメロンパンをちょびちょびと食べていた。
「は~」僕はため息をついた。お母さんは張り切って買い物に行ったっきり、帰ってこない。
多分自分の服とかホノカの服とかでめちゃくちゃ迷っているだけだろうけど。
ちょうどその時、ドアベルが鳴った。
こんな時間に誰かと思い、ドアを開けてみるとそこにはマリナが立っていた。
「あの…」彼女は口を開いたが、僕は止めた。
「立ち話は何だし、中に入ったら」さっきまで考えていた彼女と数日間は話さないというルールを完全に忘れていた。
といってもこの僕が自分のルールを守れるはずがないのだが。
「お邪魔します」彼女は靴を脱ぐと、靴箱の中に入れた。
もう一度見てみると、その靴はとてもきれいだった。いつも駆け回っている僕の靴とは違って、全く光のないところでも光って見えた。
「ちゃんとしてるね」僕の口から思っていたことが漏れ出てきた。
彼女は僕のほうを見てきた。「まあ、じゃないと礼儀正しくないからね」彼女はどこかが変わった気がした。
どこかはわからないし、知らなくてもいいと思ったが、どこかが変わってしまった気がする。
僕はホノカの横の椅子をすすめると、自分はそこに立った。あるしないといけないことがあるからだ。
「その…」だが、また僕は彼女の言葉をさえぎった。
「晩御飯って食べた?」彼女は一瞬戸惑いを見せたが、首を横に振った。
「それなら食べ物作ってあげる。食べながら話そうよ」僕は冷蔵庫の中を覗き込んだ。
「色々そろってるんだね」後ろから彼女の声が聞こえてきた。いつもより少しゆったりした感じだ。
「まあ、いつも自分用に買っているからね。他に何か用意するからとりあえずはこれを食べて待っててね」僕はぽいと彼女にめがけてメロンパンを投げ、また冷蔵庫の中に頭を突っ込んだ。
だが、彼女は一言告げた。
「言いたかったことはたった一つだよ」彼女がどんな顔をしていたのかわからなかった。
さようなら。
振り向くと、そこにはもう誰一人いなかった。
残されたのは必死にメロンパンをちょびちょびと食べているホノカ、そして、椅子の上に置いてあるメロンパンだけだった。
「!?」そこにはさっきまでいたマリナが消えたのだった。
僕は家を飛び出すと、マリナの家にめがけて走っていた。
曲がり角を曲がると、誰かにぶつかった。
僕は後ろに吹っ飛ばされ、地面にしりもちをついた。
「いたタタ…」僕はもう一人が誰なのかを見にその方向へと目をやると、そこには…
「マリナ!?」「ヒカル!?」そこにはマリナがいた。僕は一番最初に頭の中へ歩み出てきたことを口に出した。
「「どうして消えたの!?」」どうやらマリナも同じことを考えていたようだ。
「え?」

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📖上鍵です『|上鍵《じょうかぎ》と呼んで』小説家🛜lvl目標1000フォロワー・わがままだけど欲しい