「暗くなって来たな…」俺は学校まで走っていった。
家に帰ってもう4時間は立っている。
俺の名前は樫田享之だ。
いまは学校に忘れ物をしたので戻っている途中だ。
だいぶ暗くなってきたが、宿題を終わらせるのに必要なので仕方なく取りに戻った。
「なんでなんだ…」ため息もつきつつ、俺は教室まで行った。
引き出しから必要なものをとってその場を離れようとした。
すると、机の上にパソコンがあるのが分かった。
隣の席だ。誰が座っていたのかは思い出せない。
女子だったと思う。
「なんでだ?」立ち上げてみると、画面が開いた。
そこにあったのは普通の画面だった。
だが、それを何かが覆いかぶさっていた。
「こ、これは…」俺は目を疑った。
そこには二つの赤い月があった。
三日月のような形をしている。
それはひっくり返っていて、まるで笑う目を意味しているように見えた。
少しすると、パスワードを入れるバーの先が曲がった。
赤くなるにつれて、それは何なのかが分かった。
口だ。それもどんどん赤くなった。
俺はすぐにパソコンを閉じた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」俺はそのままその部屋を忘れた。
このことは忘れよう。 そう思っていた。
階段を下りていると、窓から差し込む光に影があるのを見た。
それは四角くて、そのど真ん中にはさっきと同じ影があった。
笑った顔のような、不気味な顔だ。
しかも、影なはずなのに、その影は赤い目を持っていた。
慌てて状況を把握しようとして窓から外を見ようとした。
すると、影が落ちていった。違う言い方をすれば、影が窓側に逃げていったといってもいいだろう。
だが、考えてみればあんな影を作れるはずがない。
ここは階段だ。しかも、外は二回まで高い場所がない。
影は地面に照らされていた。空高くには月があった。
それは三日月ではなく、綺麗な丸だった。満月だ。
「いったいどうやって…」俺は妖怪を信じなかった。
だから、まず考えたのは何か種があるはずだと考えた。
すると、向こうで足音がした。
すぐ後に階段を上がっていく足音だ。
だが、階段を大急ぎで上がり、教室がそろうほうを見ても、空っぽだった。
「気のせいか?」すると、後ろから足音が聞こえた。後ろにある家庭科室の中だ。
振り向いたが、鍵がかかっていて誰かが中にいるのかもわからなかった。
中をどうにか見ようとしていた時に後ろからまたもや足音が聞こえてきた。
二回目に聞いた家庭室からの足音と今聞いた足音は初めに訊いたのとちょっと違っていた。
だが、ということは複数いる可能性は高いと思った。
「誰だ!」声は響き、廊下を飛んでいった。
だが、返事はなかった。
忍び忍びと廊下を歩いていくと、俺の教室から窓を開ける音が聞こえてきた。
慌てて向こうに行くと、勿論窓が開いていた。
だが、そこからはロープが下りていた。
「これを使って逃げたのか!」俺はその教室を出て、階段を猛スピードで降りていった。
だが、彼は気づかなかったことが2つあった。
1つ目は、パソコンが閉じていたはずなのに開いていたということだった。
そしてもう一つは、走っているときに教室からギー、という音が聞こえたということだった。
うまくいったね♪
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